投稿作品集 > 研修ルームの風景 p.02

このストーリーは、bbs にて、KRE 氏より投稿していただいた作品です。 この作品の著作権は KRE 氏にあります。



バンッ。

沸き上がってきた黒い衝動を床に打ち付けるようにして、竹刀を鳴らした。秘書たちが上体を倒すと、10個の美尻がくぃっと突き出された。ビキニが肉丘の谷間に吸い込まれるようにしてさらに食い込むと、淫らな尻を懲らしめるかのように左右の肉塊を締め上げる。

目の前に陳列されている露出した生尻の面積が一段と広がった。そのまま三秒ほど静止すると、尻の山は再び元のボンレスハムに戻って行く。

バン。

好奇心からつい連続で竹刀を鳴らしてしまう。従順な秘書たちは、その極上のヒップをまたも俺の鼻先に献上してみせた。

バストも露わにお辞儀をさせるのも気分がいいが、こうして一斉に尻を突き出させるのも甲乙付け難い。男にとっては、どちらが正面とは決め兼ねられないほど見応えのある風景だ。


『裸にされるより恥ずかしい……です』

以前、恨めしそうに俺を睨みながらも、素直にそう告白した秘書がいたことを思い出す。確か新人の基本動作の研修で、いまと同じくトップレスにこの研修着の下だけを着せて、ウォーキングの練習をさせた時のことだ。

配属後に自分たちが担当することになる男性の部門長たちにも同席してもらい、彼らの前をひとりずつひたすら往復するというカリキュラムを実施した。

研修後のヒアリングによれば、俺に叱責され罰を受けて全裸にされた時よりも、ビキニショーツ一枚だけでウォーキングさせられた時の方が、より恥ずかしかったという。

特に、同僚の秘書たちがショーツを食い込ませて男性社員の前を歩かされ、きつい指導を受ける姿は、同性から見ても恥ずかしいだけでなく、屈辱的でとても直視できないそうだ。

言いたいことはよくわかる。高倍率の難関を突破して一流企業に入社して、しかも社内でも花形とされるエリートコースの地位を手に入れた秘書たちが、まるで娼婦かAV女優の育成指導のようなカリキュラムを受講しなければならないのだから。


『女性としての美しさと気品に磨きをかける』ことを名目に、男性上司の前をストリッパーのような格好で歩かされる研修内容に、本心から納得できるはずがない。

しかしこれが現実なのだ。実際、ウォーキングの研修はいまも続けられており、今日こうして平均台の上で立たされているPAたちも、配属して間もない頃に受講したはずだ。

それに、このPAたちが受けたカリキュラムは、俺に申し立てをした秘書だけでなく、他の何人もの先輩たちの意見を反映させて改変されたもので、受講者にとってより過酷に進化したプログラムであろう。

近年は直接の上司だけでなく、他の社員や女性上司にも参加してもらい、その場でレクチャーを受ける方式に変更されている。

秘書たちは自分がウォーキングする番ではない時も、同僚たちを注視することを義務づけられており、もし視線を逸らしたりすれば、歩かされている同僚がその罰を受けることになるのだ。

このように研修カリキュラムは常に改良されている。


ウォーキングの秘書の件も、当時導入されたばかりだった企業コンプライアンスによる監視カメラの映像を、複数の部門で詳細に検証し、審議委員会では当該秘書にも参加してもらった上で、実際に心拍数等の各種計測機器を取り付けて、全裸と下着一枚のいずれがより羞恥を感じるかの実験まで行って検証されている。

結果は、本人においても、必ずしもショーツ一枚が全裸よりも恥ずかしいとは限らないということで、当該秘書は根拠に乏しい主張をしたとしてペナルティを受けているが、彼女が提出した改善要求は受理され、現行方式に改まったのだ。

改善の成果はしっかりと出ていると考えている。いまここにいるPAたちがその証拠でもある。彼女たちは、そうした試練を乗り越えているからこそ、半裸で俺の前に立たされていながらも、笑顔のままノーミスで動作を繰り返すことが出来るのだ。

当社がPAを育成する真の意図は、女として最高のエージェント集団を作り上げることである。交渉、契約、取引、癒着、広報。企業体として、政界や世界のあらゆる分野の権威と繋がりを持ち、強大な権益構造を構築し続けるには、様々な手段を持つことが不可欠である。

女には武器がある。女でなければ成し得ない業務に従事するプロフェッショナルが必要なのだ。ただの娼婦では役に立たない。容姿も頭脳も企業精神も一流。社のため国のために、グローバルに活躍できる真の一流秘書。それがPAたちに課せられた使命なのである。


(おっと。もう45回目か。いかんな、つい見入ってしまった)

俺は手元のカウンターの数値に気がついて、ふと我に返った。すでにPAたちの周りを10回以上も歩いて監督している。この訓練はミスなく50回の最敬礼が出来れば合格となってしまう。あと五回だ。

(さて、そろそろミスをしてもらわんとな……)

ホワイトボードに書かれた五個目の正の字はあと一回で完成してしまう。PAたちも生殺しのままよりも、そろそろ指導を受けたいに違いない。

結局、最後の一枚も脱がされてしまうであろうことは、彼女たちもこれまでの経験から薄々認識はしている。どうせつらい目に遭うのなら、早く脱がされて早く終わってほしいと思っているはずだ。

規定回数直前まで長々と裸を鑑賞されながら前屈を繰り返すことは、秘書たちにとってはむしろ、真綿で首を絞めるような残酷な羞恥プレイでしかない。俺もそこまで意地悪にするつもりはなかったが、10人の美しさと従順な態度に、思わず時間を忘れてしまっていた。


バン。

最後にもう一度だけ突き出した尻を鑑賞してから、俺はPAたちの正面に回った。10人の美女をゆっくりと見渡す。

(さて、誰にするか……)

本当に美しい女たちだった。眺めているだけで、十人十色に相応しい罰を思いついてしまう。満面の笑みを浮かべて立つトップレスの美女の中から、五人目の犠牲者を選ぶのはなかなか骨が折れる作業だった。

バン。

47回目の竹刀を鳴らす。

「ご利用いただき、誠にありがとうございます」

PAの身体がやや前傾した瞬間。俺は声をかけた。

「待て!」


PAたちの動きが止まる。俺は右から四人目の美女の前に、静かに進み出た。10人の中では一番気が強そうな顔立ちをした彼女に向かって、低い声で注意をする。

「わずかだが遅れたな。お前だけ角度が浅いぞ」

嘘だ。全員の肩のラインは綺麗に揃っている。しかし、俯いた状態のPAたちには、前の鏡を確認することはできない。

「申し訳ありません」

秘書からは素直に謝罪の言葉が聞こえた。

「直れ!」

俺の命令で10人は面を上げて、元の状態に戻った。その表情に変化は読み取れないが、ミスを指摘されたという事実は誰もが受け止めているようだった。

俺がホワイトボードにペンで黒い横線を引くのを、秘書たちは黙って見つめているしかない。ついに五個目の正の字が完成してしまった。


「まったくお辞儀ひとつまともにできんのだから、再講習を指示されてもやむを得ない程度のレベルだな。PAとして恥を知れ」

俺の説教に反論する者はいない。秘書たちは声を揃えて謝罪の言葉を口にした。

「申し訳ございません」

笑顔を崩した美女たちの顔には、諦めと恥じらい、そしてほんのわずかの不満を織り交ぜたような複雑な色が浮かんでいる。

例え娼婦のような格好だとは言っても、下心のある理不尽な訓練を科してくる男性教官の目から、女の最も恥ずかしい部位を守ってくれていた最後の布が、無慈悲にも取り払われてしまうのだ。

それは、やがて我が身に起こるであろう不幸として予感していたことかもしれないが、現実にその瞬間を迎えるとやはり抵抗があるのだろう。だが引導は渡してやらなくてはならない。

「いままでの罰ではまだ物足りないようだな」

10人の下半身に視線を落としながら、あえて沈黙の時間を作る。


「あまりに出来が悪いのなら、このまま中止して処分を上司に預けてもいいんだぞ。どうするんだ?」

わかりきったことをわざと尋ねてやると、PAたちは顔色を変えた。

「ご指導、お願いいたします!」

10人が声を揃えて、一斉に頭を深々と下げる。秘書たちが本当に恐れているのは、ミスによって俺が与える罰ではない。この研修の結果によって、上司から直接受けることになる処分の内容なのだ。

PAは各人必ず部長クラス以上の男性を、専任の上司として担当する。上司から見れば、PAは自分の専属秘書に該当するわけだが、そのPAに対する賞罰も責務として課せられている。

秘書やPAの育成自体は秘書課が担っているのだが、勤務態度を評価して、褒めたり罰したりするのは直属上司の仕事ということだ。

今回、追加研修を命令されてしまった以上、カリキュラムをパスしてもしなくても、PAたちが上司から何らかの処分を受けることは確定してしまっている。


真の恐怖は、処分に伴って受ける『懲罰』という名のペナルティである。追加研修のカリキュラムを完遂した者と途中で脱落した者では、与えることが出来る懲罰の内容が、規定によって大きく異なっている。

重大なミスであっても研修をクリアすれば、軽~中程度の懲罰が適用される。しかし、クリアできなければ逆に、重懲罰による反省を促しても良いことになっているのだ。

秘書の研修態度によっては懲罰の救済策ともなる研修制度だが、カリキュラムをクリアできなければ、犯したミスが軽くても重たい反省罰を受ける羽目になってしまうこともある。

実際に懲罰を実行するのは上司だが、どの秘書がどれほどの処罰を受けるのかについての裁量は、教官の俺が持っているとも言える。

ちなみに重懲罰を受ける時には、研修ルームと同じエリアにある特別施設の懲罰棟で実施されることになっているのだが、一度でも懲罰棟行きを命じられたことがある秘書は、戻ってくると端から見ても見違えるほどに勤務態度が一変するのだ。

与えられる懲罰の具体的な内容は、規定の範囲内で上司に一任されているため、当事者でなければわからないが、見目麗しい若い女性社員に対して男性上司が与える罰と言えば、内容は容易に察することが出来る。


上司たちの間では、外見と同様に美しくて健康的な肉体には、少々ハードな性的制裁による教育をした方が、短期間でよく成長できるとの評判があるそうだ。

上司から受ける『お仕置き』を少しでも軽減するためには、優秀な成績でカリキュラムをクリアすることが最低条件になるのだ。

この10人もPAなのだから、懲罰を受けることの意味はその身で十分に体験済みだろう。脱落者に与えられる重懲罰を回避できるのなら、俺の前で全裸を晒すことなど、たわいもないということだ。

「そう言って、何度も同じミスばかりじゃないか。出来ないのなら基礎研修からやり直した方が、会社のためにもいいんだぞ」

文句をぶちまける俺に、

「ご指導、お願いいたします!」

と、再びトップレスの秘書たちが最敬礼をしてみせる。馴れ合い。様式美だ。


「ふん。まあ、いいだろう」

俺は手に持った竹刀を振り上げると、ホワイトボードに書かれた五個目の正の字を指し示した。暗にストリップをしてみせろと、催促してやったのだ。即座に左端の秘書が大きな声で応えを返す。

「はい、申し訳ございません。反省のために、研修着を取ってご指導を賜ります」

言い終わると彼女は躊躇せずに、率先してビキニショーツに手をかけた。

「待て!」

だが、その動きを俺が制した。予想外の指示に秘書の手が止まる。

「ほいほい脱げばいいってもんじゃないぞ」

覚悟を決めた秘書に対して説教を始める。単に脱がせるだけでは面白くない。ちょっとした趣向を思いついたためだ。


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