投稿作品集 > 体育教師奈津子 番外編 第1章 p.02

このストーリーは、bbs にて、ロッキー 氏より投稿していただいた作品です。 この作品の著作権は ロッキー 氏にあります。



■ 文化祭-3 1年A組 藤原 政代 ■

(1)

どういう星の下に生まれたら、こうも次々とトラブルが起こせるのだろうか。小町は昔っから、マイペースなんだよ。まぁ、そのブレなさが良いんだけど、初めての人は戸惑うんだろうなぁ。

普通の女子高生ライフって、そんなに大変なことなの? まぁ、確かに、どうして車で通学しちゃ駄目なのかと言われると、私もよくわからないけど……。

「ちょっと、あなたはどうなの?」

え? 私?

「そう、あなた。一緒に車から降りてたわよね」

「親の都合です。目を離すと危ないので」

「危ないって子供じゃないんだから……」

小町は小さい頃何度か誘拐されかけている。

「知らないわよ。そんなこと。とにかく明日からは歩いて登校してちょうだい」

私はちょっとムッとした。別に誰か迷惑するわけじゃないんだから、別によくない? そもそも何の権限があって、先輩に指図されなきゃいけないの?

庶民の分際で、この私に意見するなんて、ちょっと思い上がってらっしゃるのかしら。そのいかにも真面目ですって、綺麗な顔をいつか泣き顔に変えてあげるわ。


「はぁーい、わかりましたぁ」

まだ、納得していない小町を引きずって教室へ向かう。下駄箱で、昨日の先生が待ち構えていた。

「おはようございます!」
「先生、ごきげんよう」

「貴方達ちょっと指導室へ来なさい」

挨拶も返さず、私達は指導室へと連れて行かれた。

「昨日のことなんだけど、何もなかったことになりました」

「え? なんでですか?」

一応、聞いておいたほうが良いだろう。

「生徒達から話を聞きました。激しい練習をしていて、貴方達は巻き込まれただけだそうね」

ああ、そういう設定になったんですか。服部さんと、伊賀さん頑張ってくれたんだなぁ。たぶん、70%くらい服部さんだけど。あ、ちなみに伊賀さんというのは、私の父親兼兄的存在だ。

「ご理解いただけて良かったです」

小町が無表情で頭を下げる。私達の二人の実家から、この学校へは莫大な寄付金と学生の採用がされている。私達が入学するにあたって、さらに寄付金は増額され、無事に卒業すればさらに増額されると聞いている。詳しいことはよく知らない。

でも、この様子では、今後三年間かすり傷一つおうことなく、無事に終えることができそうだ。


「貴方達の経歴を調べました。ずいぶんユニークな経歴なのね」

「それは嫌味ですか? 私そういうのわかんないでハッキリ仰ってください」

小町、それはまずいだろう。

「飛び級してアメリカの大学を卒業してようが、この学校に入学したからには、ルールに従ってもらいます」

もちろんです。私達は庶民の生活をしてみたいだけなのです。激しく首を振る。

「先生は私の普通の高校生活に必要な人ですか? 不要な人ですか?」

「は?」

「先生は昨日も私達に言いがかりをつけてきました。それについて、謝罪もありませんでした」

「もし、不要な人間だったらどいうなるのかしら?」

先生は少し戸惑っているようだ。

「それなら、先生にはご退場いただくしかないですね」

「できるのかしら、あなたにそんなこと?」

待て待て、それはまずいだろう。多分出来るんだけど、それをやったら、普通の高校生活は無理だよ!


「政代ちゃんは、少し黙ってて」

ものすごく怖い目をした小町が私を睨みつける。え? なんでブチ切れてんの? 私、なんかした?? 顔を俯けてその場をやり過ごす。

「先生は本物の権力を相手にして、生き残る自信をお持ちですか?」

すごい顔してたんだろうなぁ。空気が凍ったもん。久しぶりに、冷たい汗が流れたもの。

「先生は偉くなりたいんですよね?」

しばらく時間が経ち、いたたまれなくなっていると、先生が重い口を開く。

「そうね。偉くなりたいわね」

「それ手伝います。だから、私達に普通の高校生活を送らせてください」

「あなたが私を手伝う?」

ちょっと小馬鹿にしたように先生が笑う。

「先生の経歴を調べました。新任で生徒の様子がわからなくてお困りなのでは?」

ああ、さっきなんか読んでたのそれだったの。

「私達がスパイになります。情報を操作します」

今、私「達」って言った? 小町さん? そんな話しましたっけ??


「面白いこと言うじゃない。できるのかしらそんなこと?」

「先生は着任早々、ブルマに変更されたそうですね」

「そうよ。それが何か?」

「反発も大きかったことでしょう。特に女子生徒から」

今時、ブルマはちょっと恥ずかしいよね。

「まずは、その反発を一気に鎮圧しましょう」

「どうやって?」

「私と政代ちゃんのブルマを普通のものより小さめのものにしてください。それはこちらで用意しますので」

え? だから、なんで私もやることになってるの?

「それで?」

「そうですね。政代ちゃんが、庶民と同じ規格品のブルマなど屈辱、私はオーダーするといった事にしてください」

私のキャラ設定そんな女王様みたいな設定にするの?


「見た目は同じですが、素材は別のものに変えます。先生は気が付かないことにしてください」

「それは良いけど、どうするつもりなの?」

なんだかんだ言って、先生食いついてるじゃないですか。こういう諜略は小町の十八番である。本当に弁が立つ。

「私の普通の高校生活に、不要な方が一人いらっしゃいましたので、その方を利用します。一度、反乱が起きますが、すぐに鎮圧しますのでご安心ください」

二人共、悪そうな顔してるなぁ。人をコントロールには恐怖だけではいけない。希望を与える必要がある。一度希望を与えて、それを奪うことで、一気にコントロールできるのだ。

「その不要な人って誰なのかしら?」

「鹿ノ倉副生徒会長……」

さすがの先生もちょっと驚いた様子だった。今日の小町は、機嫌が悪いなぁ。あの日なのか。と思ってたら、そういうことか。


(2)

「失礼しました」

指導室を出る。目には目薬をさしたので、一見すると涙のように見える。心配して見に来てくれたクラスメイトがかけよる。

「大丈夫?」

小町はわざとらしく、ハンカチで涙を拭っている。昨日のことは、完璧にもみ消されているようで誰も知らないようだ。教室に向かう途中、誰にも気が付かれないように、小町がこっそり紙を入れる。

『ブルマが恥ずかしいです』と書かれているらしい。これが、どう普通の学校生活に繋がるのかまだよくわからない。普通って難しいなぁ。

そういえば、掲示板に部活の案内が貼ってあった。小町は何か部活に入るのだろうか?



■ 尻抓り引き回し後(番外の番外) 体育科教師 島田 奈津子 ■

ハイレグのスポーツショーツ一枚で、鹿ノ倉がグランドを走っている。少しでもスピードが落ちると、後ろから走っている1年生女子に小突かれる。

「先輩、そんなにお尻振って、窓から見てる男子を誘惑しないでください」
「おっぱい大きくなりましたか? いつでも身体測定してあげますよ」

1年生女子から、容赦のない野次と笑い声が飛ぶ。既にグラウンドを10周以上しており、とても辛そうな表情を浮かべている。今日は、マラソンのフォーム見本を鹿ノ倉にさせている。先日の身体測定で、抵抗をしたお仕置きである。

それにしても、ペンシルテストとは面白いことを考えるものだ。ペンシルテストとは、乳房の下に挟んだペンが落ちない人はブラジャーが必要だが、落ちる人は(まだブラが不要なほど発育していないので)ブラは不要というテストらしい。

鹿ノ倉には特別製の細くて、少しローションを塗ったものでテストをさせた。結果、ブラジャーをすることを禁止されたのだ。

そんな醜態を晒した結果、過去の鹿ノ倉を知らず、4月からの鹿ノ倉しか知らない1年生からの彼女の評価は右肩下がりで下がっている。

恐らく、裏で藤原と源も何かしていることは間違いない。まぁ、私は校長になれればそれでいい。先日持ってきた懲罰ブルマといい、鹿ノ倉の何がそんなに気に触ったのかはわからない。

恐らく、鹿ノ倉自身も何故こんな状況になったのか理解できていない。そのくらい巧妙に、何重にも罠が張り巡らせれている。


「鹿ノ倉ラスト10周……、自己ベスト切れなかったら特別指導ね」

まぁ、最初からタイムなんて測る気ないんだけどね。

「きゃぁ、先輩、どんな格好でプリント配るんですかぁ?」
「もしかして、本当に裸が見せつけたくて、わざとやってるんですか?」
「ほら、もっと足上げないと、タイム更新できないですよ。大きなお尻もっと振って!」
「ほんとうに振ってる。発情期のメス犬みたい~」

疲れから足がもつれ、鹿ノ倉が地面に倒れる。

「給水いきま~す」

無邪気な顔をした1年生がホースの水を全開にして、鹿ノ倉に向ける。バシャバシャと全身に水がかかる。4月とはいえ、今朝は寒かったこともあり水が冷えている。ガタガタと震える鹿ノ倉をみて、ニヤニヤと笑う1年生たち。

「鹿ノ倉! いつまでサボってるの? 裸で町内10周したいの?」

慌てて立ち上がろうとするも、起き上がれない。

「しっかりしてください」

二人の1年生が両脇から抱え込む。一見助けているようだが、両腕を塞いで立ち上がれないようにしている。


女子生徒が鹿ノ倉を取り囲んでいる。髪を掴む者、乳首を抓る者、胸を揉みしだく者、尻を触る者、もはや褌状態の下着からはみ出た陰毛を掴む者。まるで人形遊びをしているようである。

しばらく、その状況を楽しんでから、笛を吹く。

「はい。戻って!! ちゃんと見本を見なさい!」

「はぁ~い」

クスクス笑いながら、元の場所に戻っていく1年生。私はゆっくり鹿ノ倉の場所に歩いて行く。水たまりの真ん中で肩で息をしている。

「もう許して下さい」

ビシビシと鹿ノ倉の頬を叩く。まずは右頬。

「副会長の貴方が、こんなことでどうするの?」

次は左頬。

「3年生の自覚はあるの? 気合を入れなさい」

鹿ノ倉はもはや抵抗する気力を失っている。まぁ、この辺にしておくか。いけにえは生かさず殺さずが一番だ。


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