投稿作品集 > 体育教師奈津子 スピンオフ 湯島律子編 p.03

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(3)

「コラァ、湯島ぁぁあ!」

ビクッ!

(!!! なっ何っ? ……ぇえ! ……どっ、……してっ……)

教員一大きな声の持ち主、高野のものであった。

だが、律子が驚いたのはその声の大きさにではない、高野の存在そのものにである。出張で、今日一日不在と聞かされていたその高野が、今自分の目の前に居るのだから無理もない。

「何時も世話しとるオレ様を素通りしようなんて、まったく偉くなったモンだよなぁ、お前さんも」

頭を振る律子。

「実指導ばかりが嵩んで……、ちっとも累積ポイントは消化されとらんのだぞ、お前はっ。何なら今この場で清算懲罰としゃれ込もうか? ええっ? おいコラ湯島さんよぉっ!」


一方的にやり込められる律子を不憫に思い、倉内が助け舟を出した。

「高野先生っ、それがですね。これからその累積ポイントの清算を、指導室で済ませるところなんですよ」

(そうだよな)と促す様に、極小ショーツの裾から食み出す律子の尻タブを、ポンポンと叩いてみせた。

だが、そんな事で『ハイそうですか』と頷く筈がないのが高野なのである。

「……ほう、そういう事かぁ……」

律子の身体を頭の天辺から爪先まで、感慨深げに凝視してから高野は口を開いた。

「ああっ? 湯島ぁ……。累積清算がある日は実指導が無い。そういう訳か? そう思ってるって事だよなぁ、お前さんの態度行動はっ?」

意味有り気に律子に問う高野。

(あぁ……バっ……れ……バレてる!)

律子には、何の事を言われているのか直ぐに分かった。


「そっ……あっ、な、ち、違いますっ。違うんです。ホントです。ああぁ本当に、誤解なんです。ごか……ああぁ……」

極小ショーツから、惜し気もなく伸び出た長脚を持て余し気味に捩らせ、必死に取り繕う律子の様子に呆気に取られる教員達であった。

この場での直接的処罰を回避する、ただそれだけが理由ではなさそうな事くらい、教員達全員が感じ取っていたのである。

「それにしても……、何だぁお前ぇ、その格好はぁ? ストリッパーかよ、お前はぁ!」

『あ~あ。よりによって一番性質の悪いのに引っ掛っちゃったよ』
『因縁付けられちゃってぇ……。つくづくツイてないなぁ、湯島って子は』

律子本人は言うに及ばず、周りに居合わせた教員達でさえ、最悪なのに捕まったもんだと、そうヒソヒソ話しをしていたのである。だが、皆本心は全く異なるものなのであった。

(早くその邪魔っけぇな、パンティーひん剥いてやれ! 穿こうが穿かまいが既に意味をなしてないんだから)
(一体、今日はどんな趣向で楽しませてくれるんかいな! ひひっ)
(勿体ぶってないで、とっとと素っ裸に成れっつんだよっ、このエロガキがぁ!)

ベテランの中年男性教員が、心の中でこんな事を呟いているとは何ともおぞましい限りである。


(倉内先生にはブルマー、高野先生には……、こりゃあパンツ没収決定かなぁ? ご愁傷様)
(高野先生相手じゃ……分が悪いなぁ。もしかすればもしかするぞぉ!)
(毎度プリケツごっつあんでぇ~す!)
(遂に“ユシマン”解禁かあっ!)

顔にこそ出さないが、女子生徒達に慕われる若手男性教員でさえこの有様なのだ。心の中はオヤジども(中年男性教員達)と何ら変わらないものなのである。

最近では、生活指導主任たる奈津子や、指導員倉内を差し置いて、郡を抜きその厳しい指導が有名な高野だけに、否が応にも教員達の邪な期待が高まるのである。

しかし、女子生徒が高野に指導・処罰されている現場、その光景を直接目の当たりにしたという教員は実のところ少なく、殆どが生徒達の噂話を聞きかじって得たものが多いのであった。

まずは訓告、理不尽極まりない理由付けで女子生徒を追い込み、アッという間に実指導へと持ち込むらしい。少しでも反論したり、反抗的な態度を見せれば悪質行為とみなし反逆罪が適用されるという。

そうなると、即その場に於いて懲罰の実刑執行と成るらしいのだが、生徒達の言う実指導と実刑の違いが何なのか、そもそも実指導でもその場で行われるものなのではないのか? 正直教員達にはいまひとつ良く分からないものなのであった。

単なる言い回しの違いだけの様な気もするのだが……。それまでの累積点数などは一切度外視される様で、兎に角難癖を付けられたが最後、100%その場でパンイチにひん剥かれる事など“ざら”にあるというのだ。

更に驚いた事には、実際に反論した女子生徒が居るらしく、なんと他の生徒達の居る前で、素っ裸にひん剥かれたというのである。


【(奈津子の様に、生活指導主任でもなければ指導員でもない高野が何故そこまでの権限を?)教員・生徒問わず、誰もが一度はそう思った。やはりその部分は疑問に思うところなのだ。

だが、女子生徒の嗜虐シーンが只で拝見出来るという事であれば……。

「まぁ、細かい事を気にしていても……、ねぇ」
「本人の為、社会に出てからでは遅いから」
「更正の為のモノなんだから、お堅い事を言っていても始まらんでしょ!」
「その位良いんでないのぉ。先々本人の為になる事なのだから」

一度でも懲罰・指導の現場を目にした者、立ち会った事が有る教員達は、計り知れない女子生徒の心情など、これっぽっちも考慮せず、本人の為どころか自分達の私欲の為に黙認してきたのである。

それどかろか返って良い行いだなどと言っては口裏合わせをする始末なのだ。高野に問質す者、ましてや行き過ぎた行為などと咎める者など誰一人として存在しないのが実情なのであった。

そして、男子生徒達に於いては、ひとたび訓告シーンに出くわす様な事があれば、不謹慎だが、性欲を掻きたててしまう女子生徒の姿態を目に焼き付ける事が最優先と成り。

自らの欲情を満たすズリネタ仕入れに夢中で、高野への疑問など何処吹く風という状態である。

一方の女子生徒達は、まるで対岸の火事であった。実指導や実刑執行現場に遭遇する事があれば、口では『酷い……』とか『可哀想……』などと言ってはみるものの、全くの上辺だけ。

同性として、見るも無残な事の成り行きを、目を逸らす事なく最後迄見届ける者がなんとも多い事か。つまり、他人の不幸は蜜の味という訳なのである。

性質の悪い事に、否、この年代だからこそなのか、その見届けた出来事の一部始終を友達との話しのネタに面白可笑しく語らう始末なのだ。

友達から友達そのまた友達、或いは先輩から後輩、後輩から先輩へと無限ループ的に流布されて行くのである。それもある事ない事話しは盛られ、ネズミ算式に拡散されて行く過程の中で、教員達の耳に入る事が多くあるのであった。

余談であるが、律子とてそのネタ話しの題材に上がる一人のうちで……、否、だんとつトップネタの持ち主なのであった。先日も、顔も名前も知らない1年生女子数人から、いきなり指を刺され笑われたばかりなのである】


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