投稿作品集 > 体育教師奈津子 耐えの原点 p.08

このストーリーは、bbs にて、かっちゃん 氏より投稿していただいた作品です。 この作品の著作権は かっちゃん 氏にあります。



『アオムシのお散歩』とは、その言葉の感じとは裏腹に、肉体的にも、精神的にも、恐ろしいしごきです。

まず、お散歩にいく者は、一列に整列し、ブリッジをします。その姿勢のまま、前の者の足首と、自らの手首が紐で結ばれます。自らの足首は、後ろの者と紐で結ばれます。

こうして一列に結ばれると、その姿勢のまま、校内を一周しなければなりません。奈津子先生や正規部員は、どんなことがあっても、手首・足首を結ぶ紐を外してくれません。

ヘタレて、起きられなくなっても、介抱されることなどなく、奈津子先生や正規部員による“しごき”が待っています。

昨年、私は、当時の臨時部員たちが、『アオムシのお散歩』によって、ボロボロになっても、なお、しごかれるのを幾度となく見ています。

この学校に入るまでビンタですら受けたことも見たこともなかった私には、衝撃的で、初めて見たときの光景を鮮明に覚えています。

奈津子先生や正規部員の恐ろしさや臨時部員の哀れさは、私の心の中にトラウマの様に刻まれています。まさか、自分が受けるなどと思っていなかったのですが……。


なお、『アオムシのお散歩』というふざけた名前は、私たちがブリッジをして一列に整列したまま歩く様が、いくつもの節を持つアオムシが地面を這う様に似ていると、奈津子先生が名付けたそうです。

あんな気持ち悪いムシに、私たちを例えるなんて、奈津子先生のセンスや性格の悪さを象徴しています。

ちなみに、散歩中にブリッジを崩した臨時部員の身体は、

バッシ!

と正規部員の平手が襲います。ブリッジの姿勢を崩せば、身体のどこかを、一発、平手でたたかれる事が決まっているのです。どこを叩くのかは、正規部員の気持ち一つです。

『アオムシのお散歩』中、私たち臨時部員は、顔やお尻だけでなく、胸やお腹、はては股間でさえも、平手打ちされました。しかも、「ありがとうございます」と叩かれても、必ずお礼を言わなければなりません。


この『アオムシのお散歩』の辛さを、簡単に紹介したいと思います。

この『アオムシのお散歩』の一つ目の辛さは、体力面です。ブリッジをしたまま校内を一周しなければなりません。おそらく数時間、太腿や腕、腹筋で、身体を支え、ブリッジの弧を維持し、歩かなければなりません。全身の筋肉や筋が、酷使されることでしょう。

また、疲れても、体勢を変えることや休憩をすることは、決して、許されません。さらに、お腹の上に人が座ったり、脇をくすぐったりすることで、負荷を与えられることもあるでしょう。前日までや午前中の練習で、クタクタの私たちに耐えられるのか……。

この『アオムシのお散歩』の二つ目の辛さは、チームワークです。ブリッジをすると、仰向けで寝ているときと比べ、列の長さが変わります。ブリッジをするタイミングを調整しなければ、体が押されたり、反対に引っ張られてしまい、ブリッジが辛くなります。

特に、誰か一人がブリッジを崩したときに、チームワークが無ければ、ブリッジをするのですら労力がいると言えます。また、歩いているときも、ずっと踏み出す足や歩幅をそろえ続ける必要があります。数日前に集められたバトン部の臨時部員に、それだけのチームワークが、備わっているのか……。


この『アオムシのお散歩』の三つ目の辛さは、恥ずかしさです。ブリッジをすれば当然、胸を反るので、おっぱいを強調するような形になりますし、ブリッジの安定を保つには股間を多少開く必要があります。

脇やお腹、むなじも、丸見えです。サイズの小さいスクール水着を着て、大量の汗をかくので、股間は丸見えとなるでしょう。しかも、『アオムシのお散歩』が始まれば、高校の多くの生徒が見にくる上に、イタズラを奈津子先生が推奨します。恥ずかしさに、私たち臨時部員の心が折れないのか……。

この『アオムシのお散歩』の四つ目の辛さは、身体の不自由さです。私たちは、ブリッジをしたまま、手と足が前後の臨時部員と縛られています。ブリッジ歩きでは、大量の汗が出て、目にも汗が入ってきますが、拭けません。食い込みがあっても、直せません。

また、ブリッジで頭に血が上っても、筋肉が吊っても、身体を休めることすらできません。しごきなど受けたことない私たちに、耐えられるのか……。


そんなことを考えていると、『アオムシのお散歩』の準備が、始まりました。

列の先頭は、ツグミちゃんのようです。彼女だけが、円陣中に崩れた罰として、スクール水着を没収され、全裸のまま『アオムシのお散歩』の姿勢、すなわちブリッジをしています。

縛られるために正規部員に呼ばれて立った私は、ツグミちゃんの体を上から見ることができました。同性の私がみても、ビックリするほどの美しさでした。

小さくも美しく柔らかそうなフォルムの乳房も、その上にちょこんと乗った小さな乳首も、なだらかなくびれを描く腰のカーブも、スクール水着からはみ出ないように丹念にカットされたアンダーヘアも、恥丘から伸びるくすんだ色のクレバスも、全裸で、ブリッジをしているので、丸見えでした。

どれも、ツグミちゃんの清純さを表しているように、恥ずかしさから、うっすらと赤く染まっています。

おまけに、柔らかそうなお腹には、「アオムシのお散歩中です。サボらないように、ご指導をよろしくお願いします。byつぐみ」と真っ赤な口紅で、大きく書かれています。


ツグミちゃんは、恥ずかしさと、体力的な辛さに耐えているのでしょう。歯をギュッと噛みしめ、今にも泣きそうです。正規部員がイタズラっぽく、ツグミちゃんの顔を覗き込むと、普段の落ち着きを完全に失ってしまいます。正規部員は、

「お前、こんなところにホクロがあるんだな~。外にいる男子に、言っておいてあげるよ」

と、マンコ近くのアンダーヘアの茂みに隠れた小さなホクロを指さします。ツグミちゃんは、

「いやぁ~」

とちょっとでも足を閉じようとしますが、それほど隠せません。全身をピクピクとさせながら、悲しそうな表情を浮かべるしかないようでした。

ちなみに、私は、列の真ん中ぐらいで、ブリッジをしました。私の前は高3の高桑みのり先輩、私の後ろは高1の柏木彩ちゃんです。柏木彩ちゃんは、小動物のような可愛いルックスの明るい子です。

高桑みのり先輩は、右の肩布がずれ落ちたスクール水着を直すことが赦されたものの、先ほどの円陣で与えられた罰で、スクール水着の下半身の布は薄らと濡れ、お尻周りの水着の布が尻谷に食い込んでいます。


高桑先輩がブリッジをして足を開くと、大腿部の根元の筋が出てしまっているばかりか、クレバス周りのジョリジョリとした剃り痕が、私の目に飛び込んできます。また、臀部から太腿にかけて、肌が赤く腫れています。

柏木彩ちゃんは、『アオムシのお散歩』に怯えているのでしょう。私の足から、彩ちゃんの早く打つ心臓の鼓動が伝わってきます。また、彩ちゃんの脂汗が、何度も滴りおちてきました。

いよいよ『アオムシのお散歩』が始まりました。

「アオムシになった臨時部員さんたち、散歩にいって、サボらなくてもいいように、みんなから、いっぱい指導してもらなさい」

と、まるで子供にいうような口調で、正規部員が言ってきます。さらに正規部員は、足先で背中を押し上げたり、太腿を叩き両足を広げさせたりして、負荷を強めてきます。その様子を、この学校の生徒であるギャラリーたちが見に集まってきます。


私たち臨時部員は、

「せいの!」
「右! 左!」

と、何人かの掛け声に合わせながら、足を進めます。

しかし、私たちの歩みは、散々なものでした。私たちは、足を動かすタイミングや幅を合わせることができず、ブリッジを維持することすら難しかったのです。

私も、一歩二歩と歩を進める度に、太腿や股間の筋肉が、悲鳴をあげ始めます。両足がプルプルと震え、滝のようなに汗が噴き出てくることがわかります。他の部員も、苦しいようです。列の前の高桑先輩の太ももが、シャワーでも浴びたように、みるみる内に汗で濡れていく様には驚きました。

30mほど歩いたところで、ついに、何人かがブリッジを崩してしまいます。崩れた臨時部員は、正規部員から問答無用で、平手打ちを食らっていました。

一度、ブリッジを崩すと、ブリッジをするのですら、本当に、一苦労です。これまでの練習で筋肉が悲鳴をあげそうなので一人でブリッジをするだけでも辛い上に、ブリッジをするタイミングを調整しなければ、体が押されたり、反対に引っ張られてしまうからです。


「せいの!」

臨時部員の誰かが、掛け声を出し、ブリッジをしますが、その結果、前後の臨時部員が押されてしまい、また崩れてしまいます。

「次こそ、立つよ! せぇの!」

また、別の臨時部員が、掛け声をだし、立とうとしますが、また何人かが崩れて、なかなかうまくいきません。崩れる度に、正規部員から平手打ちを食らうとともに、

「へぼ!」
「やる気がない、クズ!」

と、私たちを見に来たギャラリーから、罵声が浴びせられます。見に来ている生徒の中には、私の友人や同級生もいますが、私と目を合わせてくれません。

なぜなら、奈津子先生は、一般の生徒に、臨時部員への指導への協力と称し、臨時部員への甚振りやイタズラを推奨しているからです。この学校で、奈津子先生に刃向って、生きるなんて、できませんもの……。


そのとき、ツグミちゃんが、

「みんな、前から順番にブリッジをしよう!」
「私、一番前だけど、できるだけ頑張るから、みんなで、頑張ろう!」

って、大声で声をかけてくれます。前から順番にブリッジをすると、列の長さの調整がしやすく、みんなブリッジができました。列をうまく立て直すことができました。その後も、率先し、

「右! 左!」

と大声をだすツグミちゃん。ツグミちゃんが、さっき、一番罰を受けていたのに頑張っています。いつしか私も、ツグミちゃんの声に合わせて、声をだしていました。臨時部員全員で、声を出しあい、『アオムシのお散歩』を頑張る私たち臨時部員。

今思えば、ツグミちゃんが、崩れ落ちていなくても、いずれ臨時部員の誰かが崩れ落ち、『アオムシのお散歩』をすることになっていたと思います。

その誰かは、私になっていたかもしれません。「ツグミちゃんを恨む気持ちは、間違っていたのだ」と、私の心の中で、反省する気持ちが沸き起こってきます。


やっと、コツがつかめてきた私たち。でも、200mほどの距離を歩くのに、30分以上かかってしまいました。臨時部員は、みな、

「はぁはぁ」

と、口を開いて、肩で息をし、苦しそうです。太腿や股間は、激しく筋肉痛を起こしています。豪雨にでも遭ったように、汗が止まらずに、全身がビショビショになって、顎やスクール水着からも汗がしたたり落ちていきます。

ちょっとでも、『アオムシのお散歩』を中断し、五分でも10分でも休憩したいという想いが脳裏をよぎります。ちょうどその時です。正規部員は、

「たかが、この距離に、何分、経っていると思ってんだよ!!! まだ本物のアオゴムシの方が、早いぞっ!!!」

と怒鳴りつけると、私たちの足を結ぶ紐を強引に引っ張ります。

「えっ!」

急に引っ張られ、どうしようもなかった私たち。ブリッジが崩れ、全体がひっぱられます。


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