投稿作品集 > 体育教師奈津子 1年生 はじめての体育授業 p.02

このストーリーは、bbs にて、KRE 氏より投稿していただいた作品です。 この作品の著作権は KRE 氏にあります。



先生は手を上げた人全員の名前を控えて減点を宣告した。ある程度減点が累積すると懲罰になるとのことだった。

「では授業をはじめます。でもまずはお説教する必要がありそうね」

私たちは全員がジャージを脱いでブルマになり、その場で正座をして説教を聞く羽目になった。

この時はじめて私たちは、この怖い先生が島田奈津子という名前で、学年の生活指導主任であることも知った。

校則はきちんと守ること。時間厳守。違反者がいたら連帯責任もあるなど、まるで小学生のようなことを、くどくどと怒られてしまう。特に服装については、ジャージは許可された時以外は禁止、シャツはブルマの中にちゃんとしまうなど細かく指示された。

先生は前に立った体育委員を手本として服装を直して説明していく。せめてシャツでブルマを隠すということも禁止されて、まるで小学生のような格好になったクラスメイトの姿は衝撃的だった。

かなり馬鹿馬鹿しいとは思いながらも、島田先生があまりに怖かったので、その場ではおとなしくしているしかなかった。

「どうやら今年の1年はたるんでいるようね。その腐った根性をたたき直してあげるわ。今日からビシビシ躾けていきますから覚悟しなさい!」

説教が終わると島田先生はそう宣言した。


「まずグラウンド20周。それから腕立て、腹筋50回ずつ。その後整列の訓練をします」

私は球技とか、もっと楽しい体育を予想していた。それなのにまるで運動部の筋トレメニューのような内容だ。しかし、もたもたしているとまた怒られるので、女子はしぶしぶ立ち上がる。

「なにぐすぐすしているの。また叩かれたいの?」

脅しのようなその声で、私たちは一斉に体育館の外に向かって走り始めた。


(ちょっと……。いやっ、恥ずかし過ぎる!)

グラウンドに出て最初に感じたのは猛烈な羞恥だった。

体育館から屋外に出ると、よりいっそう下半身の無防備さを痛感させられる。足丸出しで外に行くなんて、それだけで顔が赤くなってしまう。それなのに、グラウンドではすでに男子たちが同じように、男の体育教師に怒鳴られて走らされていたのだ。

私たちも男子と一緒に走らなくてはならい。それはブルマ姿を近くで見られてしまうということだ。私たちがぞろぞろと出てくると、男子がどよめくのがわかった。

「おい、お前ら。女子のブルマ見て喜ぶなよ。しっかり走れ!」

男の先生の注意の仕方も最低だった。

女の子たちはほとんど俯くようにしてグラウンドを走り始めた。


男女ともにひたすらグラウンドを走る。ゆっくり走っていると先生から怒鳴られるので全力で走らなければならない。体力的なつらさと、ブルマで外に出された恥ずかしさで、もう頭がぼーっとしてくる。

前を走っている子のお尻がぷりぷりと悩ましく揺れているのが見える。あー私もあんな格好で走らされているんだ。見たくなくてもつい意識してしまう。

後ろから私を追い越していった男子が、前の子の後ろにぴったりとくっついて走っていく。簡単に追い越せそうに見えるのだが、なかなか抜けない。いや、抜かないのかも。

ひょっとしたらお尻が見たくてわざと抜かないんじゃないの?

そう思ったら今度は自分の後ろも気になって仕方がない。

私の後ろにも誰かがいるのはわかるけど、ひょっとして男子なの?

反射的にブルマの後ろに手を当ててしまう。だけど、もし男子だったら、ここでブルマを直すのは余計に恥ずかしい。あーもう、すごいジレンマ。もうとにかく、なんだかわからないうちにへとへとになって20周を走り終えた。


次は腕立てと腹筋だ。

男子がまだ走っているグラウンドでするのは、見られるので抵抗があったけどしようがない。腕立てをしている私たちの間を、島田先生は見回っている。

「もっときちんと曲げなさい」

などといちいち注意が細かくてうるさい。と思っていたら、

「ちょっとあなた。えーと新谷優衣ね。ずるしないでちゃんとやりなさい」

私はいきなりフルネームで注意された。みんなの前で恥ずかしい……。

これもブルマのせいだ。体操服は学校の指定のものと決められていて、身体測定の後、学校から直接購入する仕組みになっている。だからサイズも決められてしまうし、シャツの前後には生徒番号が、ブルマの前後には名前がフルネームで刺繍されてしまっている。

誰の体操服か簡単にわかってしまうから、勝手に買い換えたり、忘れた時に他人から借りたりすることはできない。腕立て伏せをしているブルマを見れば私のフルネームがわかるという、教師たちにとっては便利でも、私たちにはデメリットしかない最低な体操服だった。


名前はブルマの上部のゴムの少し下あたりの右側に縫い付けられている。体操服を着る時は、名前が確認できるようにしっかりとシャツをブルマに入れて穿くこと。というのも校則らしい。

先ほど説教された時にジャージを脱いだので、今度はシャツを出して着こなそうとしたら、また怒鳴られて注意された。その時はじめてそんな校則があることを知った。ひどい、セクハラのような校則だ。

せめてシャツで腰回りのシルエットも補正することもできない。高校生の女の子が腰から下のラインを剥き出しにして体育をしなければならないなんて、まるで拷問だよ。

知らない人に見られても名前がわかってしまうなんて危険だと思うし、番号がついているなんて囚人みたいで理不尽すぎる。


なんとか筋トレをこなすと、ようやく男子のマラソンも終わったようだった。

だけどタイミングが悪すぎた。せっかくだからと島田先生が言い出して、結局男女一緒に整列と体操の訓練をすることになってしまった。

整列の訓練なんてばかみたい。等間隔に並んでただ気をつけをするだけ。でも列が歪んだり気をつけの姿勢が悪いと怒られる。

こんなことして何の役に立つの?
しかも! なんで女子が前で男子が後ろに並ぶのよ。

ブルマ姿を後ろから男子に見られるのって、すごく気になるし恥ずかしい。私は本当に運が悪くて最後列になってしまった。つまりすぐ後ろは男子がいる。


ピッ。

笛の合図で体操隊形に広がって、決められた位置で気をつけ。その場で体操座りして、また立って気をつけ。ただひたすらそれを何回も繰り返すだけ。

ちょっとでもずれたらやり直し。本当に「訓練」だ。先生たちは整列の位置をいろいろな角度から見て、どんどん注意していく。

男の先生は「513番(5組の13番の生徒という意味ね)もっと前だ!」とか。私たちはものじゃないのよ。


最初から私たちへのイメージが悪かった島田先生は相変わらず厳しい。

さんざん注意されて、途中で男子を座って休憩させておいて、女子だけが練習する羽目になってしまった。もう嫌だ。本当にやめてほしい。

だいたい体操服も男女で差がありすぎる。女子はブルマなのに、男子はハーフに近いような長めの短パンなのだ。

名前が入っているのは同じだけど見た目は全然違う。一緒に並ぶと女子の方が露骨に肌を晒していて恥ずかしい。女子だけが罰を受けてるみたいに感じてしまう。

男子はゆったりした短パンで守られているのに、女の子はみんなお尻の形がくっきり浮き出ているし、お尻も少し見えちゃう。ずるい。絶対セクハラだよ。


ピッ。

笛が吹かれると、女子は決められた場所に走っていく。

今は男子が座って見ているのに、私はその男子の前まで走っていかなくてはならない。縦横の位置をきちんと合わせなければならないので、男子ひとりひとりの目の前に女の子が立つことになる。

私の後ろの男子はクラスでも席が隣の人なので余計に意識してしまう。その彼の方にお尻を向けて整列する。座っている男子の前で気をつけをして立つと、当然ブルマは彼の顔の前に位置することになる。

(もう最低ッ!)

これじゃ男の子に、まるで「私のお尻を見てください」って言ってるみたいじゃない。けれども本当に恥ずかしくて辛いのはこれから。


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