投稿作品集 > 鬼姫 006 仕組まれた運命 p.01
このストーリーは、bbs にて、hiro 氏より投稿していただいた作品です。 この作品の著作権は hiro 氏にあります。
次は、体育。
クラスメイトたちは、急いで体操服に着替えているが、私は既に体操服姿。私はトイレだけ済ませ、グラウンドに走った。
本当かどうかは分からないが、授業中にトイレに行きたいと言った女子生徒に、鬼姫はグラウンドの隅で排泄させたという噂があったから、トレイだけは必ず済ませるようにしていた。
まずは、グラウンドを走る。雨が降っていない限り、グラウンドを走らなければならない。鬼姫が来るまでに準備体操を終えないと後が怖いから、私は必死に走った。
グラウンドを走り終えると、私は体育館の中に入った。そして、準備体操を始める。
屈伸などをする度にブルマーがお尻に食い込んでくるのが、自分でも分かる。たぶん私は、ブルマーの中に下着を着けていないから、余計に食い込みやすいのだろう。
それでも私は、疑われるような仕草をとらないように、意識して準備体操を続けた。
キーンコーンカーンコーン・キーンコーンカーンコーン……
チャイムの音と共に、鬼姫が入って来た。
「集合!!」
私たちが整列しているところから離れたところで、鬼姫が号令を掛ける。
私たちは、鬼姫の前に急いで移動して綺麗に整列した。時間にして、わずか数十秒という早さだ。だが……。
「遅い!!」
そう言うと、体育館の反対側に鬼姫は移動した。そして……。
「集合!!」
もう一度、号令を掛ける。私たちは、再び急いで移動して整列した。
「遅い!! もう一度!!」
だが、鬼姫の評価は“遅い”だった。またもや、やり直しだ。その後も、その後も……。
「遅い!! もう一度!!」
「遅い!! もう一度!!」
・
・
・
結局、集合の練習だけで30分近くも時間を費やした。
「授業の前に、残念なお知らせがあります」
いつもとは違う、授業の入り方だ。
どうしたんだろう? 私は、疑問に感じていた。
「この授業の前に行われた数学の授業で、ブルマーから食み出たお尻を気にするあまり、授業に集中していなかった女子生徒がいたと報告がありました」
「えっ? 嘘よ、そんなの……」
思わず、私は声に出してしまった。
「あら? 私は田中さんだと言っていなかったんだけど、本人が認めているようだから話が早いわ」
「認めるも何も、さっきの授業で体操服を着ていたのは私一人です。でも、私はブルマーを気にしたりしていません」
「貴女は、そのつもりでも、他の人から見れば授業に集中していなかったってことよ。それに、私は貴女の言い訳を聞くつもりはありません」
「言い訳だなんて……」
私は反論しようとしたが、聞く耳を持たずとでもいうかのように……。
「連帯責任です。ブルマーを脱ぎなさい」
鬼姫は、他の女子生徒たちに指示を出した。
「先生、そんなのあんまりです!!」
「煩い子ね。いいわ、貴女が私に歯向かえば、どうなるか教えてあげましょう」
そう言うと……。
「今日の授業は、グランドで行います。ブルマーを脱いだものから体操服の裾をパンツの中に仕舞って、グラウンドへ移動!! 脱いだブルマーは、ここに置いていきなさい」
鬼姫が、さらに過酷な指示を出した。覚悟を決めたのか、既にブルマーを脱いでいた女子生徒はチラホラいたが、さすがにグラウンドには出ていけない様子だった。
「あら? 動かないみたいね。追加罰が欲しいのかしら? そうね、最後だった子には、パンツも脱いで貰おうかしら? 男子は、きっと大喜びね」
そう言いながら、鬼姫は笑った。
鬼!! 悪魔!! この人でなし!! 私は、心の中で罵った。
まだブルマーを脱いでいなかった女子生徒たちも、急いでブルマーを脱ぎ体育館から出ていこうとした。
「まってぇーー」
私は、みんなに向かって叫んだ。
「せ、せんせい……、わ、私が、私が一人で罰を受けるから、み、みんなを……、ゆ、許してあげて……」
鬼姫に頼んだ。
「もう、貴女に罰を与えても効果がないことが分かりました。そうね。貴女以外に誰か、貴女と一緒に罰を受けるというなら、グラウンドでの授業は回避しましょう」
「後、一人……」
「そうよ。みんなと相談しても良いわ」
私は、みんなと相談した。
結局、全員で辛い思いをするのなら、誰か一人が犠牲になろうという結論に至った。そのことを、私は鬼姫に伝えに行こうとしたその時……。
キーンコーンカーンコーン・キーンコーンカーンコーン……
授業の終了を告げるチャイムが鳴り響いた。
早く、早く、鬼姫に伝えないと、次のクラスが入って来る。もしも男子だったら、みんなの下着姿が見られてしまう。早く、みんなにブルマーを穿かせてあげなければ。
私は、心の中で思った。
「私以外に誰か一人、罰を受けます。ですので、みんなは許してあげて下さい」
「そう、分かった。じゃあ、貴女と紺野さんに罰を受けて貰いましょう」
陽子ちゃんを巻き込んでしまうんだ……。私は、陽子ちゃんに申し訳ない気持ちで一杯だった。
「今日は、田中のせいで授業にならなかったわね。これから、紺野と二人に罰を受けて貰うから、それで許してね」
鬼姫は、そう言って他の女子生徒たちを解放した。すると、私の嫌な予感が的中していたみたいで、2年生の男子が入って来た。
解放されたと同時に、みんながブルマーを穿いたので、入って来たばかりの男子に下着姿を見られることは無かっただろう。私は、少しだけホッとした。
「貴女には、特別にパンツを返します。今日は、放課後まで、下半身は、パンツ姿で授業を受けなさい」
そう来たか……。私が心の中で思っていると……。
「おい、おい。紺野先輩、パンツ姿だぜ。何かしでかしたのかな?」
「それより、紺野先輩のお股、膨らんでないか?」
「アレの日だろう。こんな日ぐらい、おとなしくしとけよな」
男子の噂話が耳に入った。
「えっ?」
それを聞いた私は、思わず声を上げてしまい、陽子ちゃんの方を見た。すると陽子ちゃんは、顔を真っ赤にしていた。そして、ふと、私は目線を下げてしまった。
「えっ!!」
「うん。昨日の夜から」
「ご、ゴメン」
「由真のせいじゃないよ。今日は、朝から辛くて、体育を見学させて欲しいってお願いしたの。結果は、駄目だったけどね。その時から、私は、こうなる運命だったのよ」
鬼姫のやつ、陽子ちゃんが生理中だと知っていて、わざと選んだんだ。どこまで最低なやつなんだ。
「行くわよ」
私は心の中で鬼姫を罵っていると、鬼姫が私たちをどこかに連れていこうとした。私も陽子ちゃんも、仕方なく鬼姫に着いて行った。
連れて来られたのは、言うまでも無く生活指導室だった。私たちが部屋に入ろうとすると……。
「そこで待っていなさい」
今までにない展開に、私は戸惑っていた。暫く廊下で待っていると、鬼姫が、何故か私のパンツとガムテープを持って出てきた。
鬼姫が陽子ちゃんに近づくと、体操服の裾を捲り、おへそが見えるようにした。そして、そのまま体操服の裾をガムテープで固定した。これで、陽子ちゃんのパンツが丸見えになった。
「はい、これで良しと。分かっていると思うけど、ガムテープを外したりすれば、楽しいことになるからね」
いつもの口調で鬼姫が言うと、今度は、私の前に来た。そして、陽子ちゃんと同じように私の体操服の裾も、お臍の上まで捲って固定した。
「貴女は、これに穿きかえるんでしょ? さぁー、ブルマーを脱いで!!」
まさか? ここで、ブルマーを脱げっていうの? 私は、口にこそ出さなかったが、かなり動揺していた。
「もう授業は始まっているのよ。さぁー、早く!!」
やっぱり、そうだ。でも、もう、授業が始まっているんだ。だから、見られる筈がない。私は覚悟を決めて、ブルマーのウエストゴムを掴んだ。そして、一気にブルマーを脱いだ。
「おいおい、こんなところでストリップかよぉーー。止めてくれよ」
「えっ?」
声の方を見ると、そこには鈴木の姿があった。
「鈴木君、ゴメンね。授業中に呼び出して。長谷部先生に渡して貰いたいものがあるのよ。でも、ちょっと待ってね」
鬼姫が鈴木に言うと、今度は私の方を見た。
「さぁー、早くブルマーを渡しなさい」
私は、左手で下半身を隠しながら、右手でブルマーを鬼姫に差し出した。
「貴女、何の真似?」
「何の真似って?」
私は、本当に分からなかったので、鬼姫に質問した。
「貴女の左手は、私を馬鹿にしているが故の行動なのかと聞いているつもりよ」
「えっ? 馬鹿にって、そんな……。ただ、恥ずかしいから隠しているだけです」
「そう、つまり、貴女には反省する気持ちが無いということね」
「違います!!」
私は、渋々、左手を身体の横に移動させた。
「うひょうーー、丸見えぇーーー!!」
鈴木が叫んだ。その言葉を聞いて、私は涙が溢れてきた。
「貴女みたいな子供の裸なんか見ても、誰も喜びません。鈴木君は、貴女が恥ずかしがっているのが面白くて冷やかしているだけです。貴女が堂々とすれば、鈴木君は何も言いません」
鬼姫が、冷静に言った。確かに、鬼姫の言う通りなのかもしれない。でも、男子の前で下半身裸にさせられて、堂々と出来る女の子なんて居る筈がない。そう思いながら、屈辱に耐えた。
ようやく鬼姫が私のパンツを返してくれた。私は、すぐにパンツを穿いて、陽子ちゃんの横に立った。
「全ての授業が終わったら、体育館の前で一時間スクワットをするように。貴女たちに反省する気持ちがあるのなら、決してパンツを隠したりは、しないはずよね」
そう言うと鬼姫は、鈴木を連れて部屋に消えていった。私と陽子ちゃんは、授業を受けるために教室に戻ることにした。
当然のように、私たちは注目の的だった。堂々と見ると軽蔑されるのではないかと思っているのか、男子がチラチラと見てくる。
お前のせいで私たちは恥ずかしい思いをさせられたんだとでも言われているかの様な、女子からの冷たい視線も感じる。そんな屈辱に耐えながら、私は授業を受けた。
そして、運命の放課後。
私と陽子ちゃんは、言われた通りに体育館の前に行くと、俊輔君がブリーフ一枚という姿でスクワットをしていた。
「西川君、どうして?」
「鈴木のやつが、田中さんをハメやがったんだ。だから、しばいてやった」
「鈴木が、ちくったの?」
「ちくったというか、田中さんを嵌めたかったんだよ。この間の仕返しのつもりだろ」
「この間って?」
「佳奈と鈴木と三人で怒られた、あの時だよ。鈴木のやつ、かなりケツを叩かれたみたいで、二、三日、まともに椅子に座れなかったみたいだからな」
「そうだったんだ。でも、どうして私の為に?」
「田中さんは、何も悪くないやん。元をたどれば、佳奈のせいで姫野のやつに睨まれるようになった訳だからね。だから、佳奈のこと、嫌いにならないでやってね」
ここまで俊輔君に惚れられている佳奈が、何だか羨ましかった。
「うん」
私は、そう答えると、俊輔君の横に並んだ。そして、スクワットを始めた。
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