投稿作品集 > 静香と香澄 p.30

このストーリーは、bbs にて、鳳仙 氏より投稿していただいた作品です。 この作品の著作権は 鳳仙 氏にあります。



『浣腸……浣腸ですってっ……!?』

執事の言葉に、静香はやや反応が遅れて一驚を喫した。

『この子達、今から浣腸されるんだ……』

自身も村岡や晴美によって受けた恥辱極まりない浣腸。羞恥や屈辱でいえば、お尻叩きより遥かに堪えるお仕置きである。

お尻叩きは厳しければ厳しい程、意識が痛みに向かうが、浣腸はそうではない。苦痛が無いだけに、他人に恥処を晒さねばならない、尚且つ肛門に異物を挿入される恥辱をしっかり味わう事になる。

『ああ……この子達、どんな顔をするかしら……』

医療行為ではない、戒めの為の浣腸。それを容姿端麗な若い女性が全裸で受けるのだ。想像を絶する恥辱を味わうであろうメイド達に、目の眩むような期待感と興奮が静香を包んだ。

それにより、彼女の顔は嬉しそうな綻びを見せる。


『……え? ……静香様、わ、笑ってるっ?』

それに最初に気付いたのは範子である。

『……そ、そんな……私が笑われている……』

続いて友美も気付いた。最近、ちょっと煩くなったが、この家では静香が最も優しく親切な主筋という認識がある。それだけに二人は、彼女を人の不幸を嘲笑う偽善者と映った。

『私の無様を嘲笑っている……。酷いっ……!』

自分達は全裸でお尻を打たれ、散々に泣きわめいた。だけでなく、その哀れな姿のまま浣腸のお仕置きを待つ身である。いわば、女性として極めて悲惨の中にいるのだ。それを笑うのだから、静香の人間も推して然るべし、と考えたのである。

とはいえ、相手は主筋。二人は、静香の隠れた一面を垣間見、それを内心毒づくくらいしか出来ない。

「静香様、お嬢様、如何なさいますか? ご見学なさいますれば、私の部屋までご足労願いますが?」

執事の言葉に、今の静香の返事は一つしかない。


「ええ、構わないわ。祥一さんからも、見学するよう仰られたので」

その横で、相変わらず口を覆った裕美が、賛成の意思表示とばかり頷きを繰り返した。

村岡の部屋。

彼の人となりが垣間見えるような、無駄の無さすぎる部屋である。窓の傍に机があり、パソコン以外何も見当たらない。ただ唯一、普通の部屋と違うのは、奥の壁際に賑やかなまで並んだお仕置き道具の数々である。

「静香様、裕美お嬢様、どうぞ此方へ」

村岡は部屋の中央へ、キャスター付きのソファーを用意した。

優に三人は座れそうなそれへ、静香と裕美は腰を掛ける。そして目の前には、若干間隔を空けて、全裸の三人が並んでいた。


村岡は、主筋にのみ御辞儀をすると、棚にある浣腸シリンダーを手にする。そして、ひきつった顔のメイド達を眺めながら、お仕置きの準備を始めた。

「これは三人同時、という訳にはいきません。従って、未来さん、友美さん、範子さん、の順で行います。ではまず未来さんだけ、先程と同じ姿勢を取りなさい」

これが終われば、惨めから解放される。未来はそう思い、言われた通り速やかな恥態を晒した。

『まあ、それじゃ顔が見えないわっ』

静香は興奮の余り、そう口走りそうになった。が、無論口に出して言える台詞ではない。

『どうせなら、私と同じ仰向けでやればいいのに……』

村岡の背中に軽く舌打ちをし、彼女は残念そうな顔をした。

すると突然、視界に裕美の背中が見えた。そしてその小さな背中は自分から遠ざかり、村岡の隣で佇んだ。どうやら幼女は、新たな興味と関心が出たのであろう。身動ぎもせず、未来の晒された恥部を凝視している。


『ああ、私も近くで見たいな……』

まさか幼女に倣って、そのようなはしたない真似など出来る筈もない。静香はもどかしさを感じた。

「お嬢様、間近でご覧になりたいのですか?」

村岡の言葉に、裕美は頷いた。すると彼は、静香を顧みた。執事は、静香を見て意味深な笑みを見せる。

「メイドの躾に、お嬢様がわざわざ足を運ばれるのは恐縮ですな……。では、こうしましょうっ。我々がお席の近くに寄りますので、お嬢様はお座りになってご覧くださいまし」

裕美は頷き、急ぎ足でソファーへと鎮座した。それに合わせ、村岡は未来をソファーのすぐ傍まで誘った。

『これで宜しゅう御座いますか?』

静香に向け、彼は目でそう語った。彼女は軽く頷き、軽く微笑んだ。


「では未来さん、今からワセリンを塗ります。そして、その後浣腸を致しますから、身体の力を抜いておいでなさい」

「あい……」

自分の恥処を人前に晒し、未来は哀しげに返事をした。そして、自分の尻たぶを掴まれ拡げられたと思ったら、肛門をまさぐられる感触が見舞った。

「きゃっ!」

思わず悲鳴と共に、お尻に力が入る。それを村岡は、お尻への懲擲でたしなめた。

「我慢なさいっ。そして力を抜いてっ。未来さん、お尻叩きはもう受けたくないでしょう?」

「ず、ずみばぜんっ……」

必死に肛門を閉じていた彼女は、執事の言葉にあっさり屈伏した。だけでなく、言われもしないのに、更に足を開いてお尻を突きだした。


『あらやだっ、お尻の穴丸見えじゃないっ。それにアソコまで……』

静香は、またとない機会とばかり、身を乗り出してそれを凝視した。自然、彼女の満足を表すかのように、次第に唇辺が弛んでいく。そして一方裕美お嬢様は、相変わらず口を覆っているが、どう見ても笑いを堪えているようであった。

その二人の主筋の愉しげな様子は、当然の事ながら友美と範子の知るところとなった。無論彼女達は、未来の羞恥に歪む泣き顔も見える。そしてそれは自分達の、間もなく訪れる姿でもある。

つまり、無情な年増と小娘を歓ばせる為に、自分達は哀れな、そして無様な姿を晒さねばならないのだ。全裸待機の心に、収まりつかない悔しさと憎悪が湧き出てきた。

特に範子は、静香の秘密を知っているだけに、失望と怒りもひとしおである。彼女は、そもそもの因である遅刻でさえ、静香のせいに思えてきた。

『……こんな……こんな目に遇うのも、この女が旦那様と朝帰りするからなのに……』

悔し涙が頬を伝う。

『優しいお姉さんみたく、思っていたのに……』

晴美などと違い、確かに静香は優しかった。体調が悪いのを労ってくれたり、失敗した時も叱らずに慰めてくれた。だからこそ、自分は慕っていたのだが、お仕置きされるのを嘲笑うのはあんまりである。


『……分かったわ、この女の正体っ。旦那様を誘惑して、この家を乗っ取るつもりなんだわっ!』

余りな悪感情のせいか、空想は飛躍し過ぎ、範子はそう結論付けた。そして同時に、彼女の中で静香は淫乱の悪女と認識されてしまった。

範子程ではなくとも、友美も少なからず静香に反感を持った。二人共、普段も小癪な小娘は眼中にない。あくまでも、親切だった静香に対してのみである。

メイド二人が憎悪を掻き立てているなど、静香には知るよしもない。彼女は、お尻を小刻みに震わしながら、肛門にワセリンを塗られる未来の恥処に心を奪われていた。

『未来、貴女の恥ずかしい様子、よく分かるわ……。お尻の穴を弄られてるんですものね……』

自分でも、はしたないとは思っている。しかし、もはや歯止めが効かぬ程、気持ちが昂っていてどうしようもない。

『……ああ、人のお仕置きで興奮するなんて……。私もお仕置きが必要なんだわ……』

再び彼女のMが顔を覗かせる。松尾と晴美を除く、この家の顔ぶれの中で、自分だけが全裸で浣腸のお仕置きを受ける。そう想像すると、ゾクゾクするような快感が押し寄せた。


『……ああ……静香のいやらしいお尻の穴に、浣腸をしてください……』

メイド達は蔑むであろう。裕美は嘲り笑うであろう。香澄は……。娘の驚き失望した顔が浮かぶ。

『うん、やっぱり香澄も見ちゃ駄目だわ……。……そうだ、今夜祐輔さんにお願いしてみようっ』

妄想からやや覚めると、静香はその思い付きが非常な楽しみとなった。

「未来さん、次は浣腸です。浣腸後は、10分は我慢してくださいね。一応、粗相が無いよう、お尻の穴に栓をしますから」

浣腸初体験の未来、彼女は、村岡の言葉の意味が分からない。とはいえ、聞き返しも躊躇われたのか、「はい……」と蚊の鳴くような返事をした。

「参りますぞ」

躾、である以上、村岡の動きに躊躇はない。馴れた手つきで、浣腸器の先端をあっさりと未来の肛門に挿入した。

「うっ、ううっ……!」


不快な感覚であったろう。未来は、切ない呻き声をあげた。彼女はそれを訴えるかのように、内股となって裸身を震わした。

浣腸そのものが終わっても、お仕置きは終わりではない。村岡の手には、小さく丸めたティッシュの塊がある。

「いいですね未来さん、今から栓をしますから、10分堪えてください。それが終われば、トイレに行かれて結構ですから」

「あ、あいっ……」

返事はしたものの、早くも彼女を便意が襲う。

「お尻の栓は、トイレでご自身で抜けるようしてますから、それまでは触らないように」

未来がお尻に手を回すのを見て、村岡はそう注意した。やむ無く彼女は、立ち上がってお尻に力を入れた。瑞々しい裸身を、衆目に晒しながら。

おそらく、浣腸未経験者にとって、10分間便意を堪えるのは、容易な事ではなかったろう。執事のお許しまで、未来は裸身を捩り、奇妙な踊りで見学者の目を楽しませた。


「はい、お時間です。未来さん、お仕置きは終了ですから、服を着てトイレへ行かれて結構ですよ」

お仕置き終了のみならず、着衣の許可も下りた。だが、未来には服を着る余裕など残されていない。彼女は、一刻も早く、トイレへと駆け込みたかった。

額に脂汗を浮かべ、内股でよろよろと部屋を出ていく。その姿は依然、全裸のままであり、この部屋へ移動した時同様、生まれたままの姿で再び屋敷内を歩く事になる。

部屋を出た彼女に、一つの奇禍が待っていた。最下層の使用人、松尾がいたのである。

「おやおや、誰かと思えば未来さんじゃありませんか。どうなさいました? おまけに裸で?」

卑下た笑いを浮かべた彼の登場に、未来は驚いた。が、逃げるのも、恥処を隠す行為すらも、強大な便意の前に術がない。

「か、浣腸のお仕置きを受けました……。と、トイレへ行かせて……」

嫌悪の表情で、辛うじてそう言えただけである。


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