投稿作品集>松本豊シリーズ 外伝2『体育祭の練習(長谷川翔)』p.03

このストーリーは、bbs にて、hiro 氏より投稿していただいた作品です。 この作品の著作権は hiro 氏にあります。



準備室に入ると、女の子の大切な部分を必死で隠しながら古川先輩が立っていた。

着替えることも許されていないのだろう……。僕は目のやり場に困っていると、横山先生が戻ってきた。

「古川、手は横!! 立つ時は、気をつけでしょう!!」

そう言うと横山先生は、女の子の大切な部分を覆っていた手を掴み、身体の横に持っていった。

「今度、ここを隠したら、連帯責任でクラス全員を裸にするよ」

横山先生は細い木の棒の先で、女の子の大切な部分をチョンチョンと突きながら言った。脅しとも言える圧力を、古川先輩に与えていた。


「じゃあ、始めようか」

始めるも何も、僕は何をすれば良いのか?? なんで、僕は呼ばれたのか、僕には何も分からなかった。

「先生、僕は……」

僕が横山先生に質問しようとした時……。

「古川!!」

横山先生が、古川先輩に怒鳴った。

「長谷川君、私の絵を描いて欲しいの」

そう言うと、古川先輩は僕にスケッチブックを渡してきた。

「絵?」

「そう、私の絵」


古川先輩は僕にスケッチブックを渡すと、机の上に座り、体育座りの状態で限界まで股を開いた。古川先輩を見ると、涙があふれていた。

「モデルが泣いていたら、綺麗な絵が描けないでしょ!!」

ビシャーーン!!

泣いている古川先輩の頬をビンタした。そして……。

「笑顔、笑顔」

横山先生は、古川先輩に声をかけた。

こんな恥ずかしい思いをして、笑顔になれるはずなど無い。僕は、古川先輩の為にも早く書き終わろうと思い、絵を描き始めた。


「長谷川君、古川は恥ずかしと思うのよ。君に裸の下半身を見られているんだから。そんな表情を上手く書いてね」
「長谷川君……」
「長谷川君……」

何度も何度も、横山先生は僕に話しかけてきた。だが僕は、古川先輩の為にも、横山先生の言葉を聞かないようにして、絵に集中した。

僕が反応を示さないことを理解したのか、今度は僕の目の前で、女の子の大切な部分に悪戯を始めた。

「う、うっ……」
「あ、あん」

時々、古川先輩が恥ずかしそうに声を出した。

もしかして、これが、感じているということなのか?? 僕には、分からなかった。ただ、声を出す度に、古川先輩の顔が赤くなっていった。そんな古川先輩の顔を見ると、早く仕上げなくてはという気持ちが強くなり、筆を進めた。


その甲斐もあってか、一時間ぐらいで絵が完成した。

少しでも早く古川先輩を解放してあげたいという思いから、僕は横山先生に絵を渡した。

「流石、美術部ね。でも、もう少し裸の下半身の描写が欲しかったんだけど、まぁー、いいわ。ありがとう」

横山先生が僕に言った。

「古川さん、見て。こんなに綺麗に描いてくれたわよ」

古川先輩は、目を逸らした。

「うん? 今のは反抗かな? 私は見なさいって言ったよね?」

横山先生の言葉で、古川先輩は絵を見た。


「綺麗に描いてくれています」

古川先輩が答えると、今度は……。

「だったら、貴女からもお礼を言いなさい」

横山先生が古川先輩に言った。すると、古川先輩は……。

「ありがとう」

僕にお礼を言ってくれた。

「違うでしょう!! 貴女の汚い所を書いて貰ったのよ。だったら、それなりのお礼の言葉が必要でしょう!!」

古川先輩が僕に言ったお礼が気に入らなかったらしく、横山先生は古川先輩を怒鳴った。


「私の汚い所を見て貰った上に、こんなに綺麗に描いてくれて、ありがとうございました」

今度は、一言付けて、僕にお礼を言った。

「あっ、はい」

僕には、なんて答えたら良いのか分からず、とりあえず答えた。横山先生も、今度は納得したようだった。

「また、機会があれば、よろしくね」

横山先生に言われ、ようやく僕は、解放された。


準備室から出たものの、古川先輩のことが気になった。謝りたいという気持ちもあったので、古川先輩が準備室から出てくるのを待つことにした。

だが、なかなか出てこない。

中の様子が気になり、少しだけ入口のドアを開けて覗いた。すると……。

中では、まだ古川先輩が怒られていた。会話まで聞こえなかったが、椅子に座った横山先生の前で説教をされているようだった。

これ以上、覗いているのが心苦しくなり、素直に出てくるのを待つことにした。

10分ぐらい待っただろうか。古川先輩が出てきた。


「先輩、さっきは、すみませんでした」

「どうして君が謝るの?」

「えっ……、でも……、なんか……」

「同情?」

「そんな……」

「今度もこの格好で授業を受けなきゃならないのよ。そんな気持ち、君に分かる?」

「……」

僕には何も答えることができず、その場で下を向いた。


「真由ちゃん、最高!!」
「ありがとね、真由ちゃん」

男子の声が聞こえた。僕は、ふと顔を上げると、古川先輩は教室に向かって歩いていた。

古川先輩のことが、やっぱり気になり、僕は追いかけた。

「せ、せんぱい……」

もう一度、僕が声を掛けると……。

「ごめんなさい」

古川先輩は僕に謝り、僕の足元に蹲った。その後は、回りを気にする余裕も無く、古川先輩は大声を上げて泣いた。

僕は、古川先輩の肩に手を回し、強く抱きしめた。古川先輩が大声で泣いたものだから、人の目が集中していた。


僕は古川先輩を立たせると、校舎の裏に連れて行った。

「長谷川君だっけ? 優しいんだね」

古川先輩が僕に言った。僕は、身体から湯気が上がるんじゃないかと思うぐらい、全身が熱くなった。

その後、僕たちは色々と話した。授業のこと、恋愛のことなど、他愛もないことばかりだったが、楽しかった。

「こんな恰好じゃご飯も食べれないから、着替えてくるね」

女の子の大切な部分を指差しながら、古川先輩が言った。そうだった。古川先輩は、下半身裸だったのだ。


「あっ、ごめんなさい。長い時間、話してしまって」

僕は謝ると……。

「やっぱり、優しいね」

そう言って、僕の頬にキスをしてくれた。

僕は、とても嬉しかった。嬉しすぎて、どう表現したら良いのか分からないぐらいだった。

「今度から、私のこと“真由”って呼んでね。それと、またお話し、しよ。二人っきりでね」

彼女は、僕にバイバイをしながら、歩いていった。僕は、バイバイを返しながらも、キスの余韻に浸っていた。


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