投稿作品集 > ひとりだけ…… ≪マラソン大会の練習1≫ p.02

このストーリーは、bbs にて、hiro 氏より投稿していただいた作品です。 この作品の著作権は hiro 氏にあります。



―― 朝 ――

「松尾先生、知っているでしょう?」

私が一階に降りて行くと、美紅が話しかけてきました。松尾先生とは、美紅が6年生の時の担任の先生でした。

「小学校の時の先生でしょう?」

「今、北小で先生をやっているんだけど、ふれあい学校で女の子にブルマーを穿かせたみたいなんだ。だから今、問題になっているらしいよ」

「ブルマーを穿かせたら問題になるの?」

「ブルマーを穿かせるのが不味いんじゃなくて、ブルマー姿で学校の外に行かせたことが問題なんだよ。ブルマー姿で学校の外に出るなんて、普通、あり得ないでしょう。ましてや、ふれあい学校と言えば、色々な人たちが来る訳だし、流石に問題でしょう」

衝撃的でした。私は、今日から始まるマラソン大会の練習で、ブルマー姿で校外を走ることが確定していました。


「美紅は、ブルマー姿で校外に出たことは無かったの?」

「あったよ。小学校の時の運動会の日、体操服で登校させられたじゃん。マジ、あり得ないって思ってたよ」

「中学校の時は?」

「無いよ。女バレの子たちは、マラソン大会の時、練習も含めてロンパン脱がされてたけど、私、バレー部と違ったし」

またしても、衝撃の事実でした。私が中学校時代の三年間は、半袖体操服にブルマー姿で校外を走らされていました。まさしく、ジェネレーションギャップというものでしょう。

「やっぱ、クビかな?」

「えっ?」

「松尾先生だよ」

「いくらなんでも、それは……」

「そうだよね。女バレの大澤先生もクビになっていないしね。良かった。私、松尾先生のことが好きだったんだ。優しくて、綺麗だし、お姉さんみたいな存在だったんだ」

美紅は、安心した表情に代わった。


「でも、どうして、あんな下着みたいなもの穿かされてたんだろうね。はみパンするし、食い込むし、良いとこ無しじゃん」

「ブルマー夫人が、女性解放の為に発案したとか言ってたんじゃなかったっけ?」

穿かされていたって、まだ過去形にしないでよ。今も私は穿いているんだから。心の中で思いながら答えた。

「そんな教科書みたいな回答は、求めて無いよ。気持ちの問題だよ。お姉ちゃんも嫌だったでしょう、ブルマー」

だから、まだ過去形にしないでって!! 心の中で思うばかりで、今もブルマーを穿いている事実を私は言えなかった。

「そうだね。嫌だったよね。恥ずかしかったよね」

「でしょう。マジあり得ないって」

美紅につられて私まで過去形にしてしまった。本当は、今も穿かされているのに……。

「そろそろ、行くね。お姉ちゃんも、早く用意しなきゃ遅刻しちゃうよ」

「うん。ありがとう」

自分から話しかけてきたくせに……。美紅は、話したいだけ話したら行ってしまった。



―― マラソン大会の練習(2) ――

ようやく走り終え、私は学校に戻ってきました。校門では、紺野先生が仁王立ちしていました。

「西野、こっちへ来い」

紺野先生に呼ばれました。

「汗をかいているので、風邪をひいたら悪いので先に着替えさせて下さい。着替え終わったら、すぐに行きます」

汗をかいているからというのは、二の次だ。ブルマー姿で行くのが、嫌だったからだ。

「もう一度だけ言う。着いて来い」

紺野先生は、聞く耳を持たずといった感じでした。着いていくしかありません。私は、紺野先生の後ろをついて歩きました。


連れて来られたのは、体育館の二階でした。

「どうして、体操服の裾をブルマーから出した?」

「それは……」

「近所の人に声を掛けられ時、どうしてあんな態度をとった?」

「……」

私には、何も答えられませんでした。

「いちいちブルマーを気にするのは、恥ずかしいからだろう?」

「そんなことはありません。ブルマーは、小学校の時から穿いていた、体操服です。だから、恥ずかしくなんて、ありません」

「そうか。だったら、明日から体操服で登校しろ」

「えっ?」

「聞こえなかったのか? 明日から体操服で登校しろと言ったんだ!!」

「そ、それは……」

「嫌なんだろう?」

「……」

私には、何も言えませんでした。


「だったら、素直に認めろ。ブルマー姿が恥ずかしくて、気になってしまいましたと」

「ぶ、ブルマー姿が恥ずかしくて、気になってしまいます」

「よし。では今から、羞恥心を克服する訓練をする」

「はい」

「卓球台を広げろ」

卓球台?? 卓球、するの?? それと、羞恥心の克服と何の関係があるの?? 私は、不安になりながら卓球台を中央に移動させ、半分に折り畳まれた卓球台を広げました。

「よし、では、今から羞恥心を克服する訓練を行う。まずは、パンツとブルマーを脱げ!!」

「えっ?」

「だから、今から羞恥心を克服する訓練を行うから、パンツとブルマーを脱げって言っているんだ」

「それは、分かっています。でも、どうして、パンツとブルマーを脱がなければならないんすか」

「何度も言うようだが、お前も、そろそろ利口になったらどうだ? お前が俺たち教師に反抗すればするほど、お前の立場が悪くなるだけだぞ」

この言葉を言われると、私には何も言えなくなる。


「ちょっと、先生。向こうを向いて頂けませんか?」

「気にするな。どっちみち、お前のあそこを見なくちゃならないんだ。だから、俺のことは気にせずに、脱いだら良い」

論点が、全く異なっている。女心を全く分からないのか……、それとも、理解した上での行動なのだろうか……。

「脱がないと、どうなるか分かっているよな?」

意味深な発言だった。でも“脱がないと卒業させないぞ”という脅しであることは容易に理解が出来る。私は覚悟を決め、ブルマーのウエストゴムに手を掛けた。

「したいんだろ?」

したい?? 何をしたいの?? まさか?? まさか?? まさか、エッチ?? またまた、色々なことが脳裏をよぎる。どうしよう……、何て答えたら……。

「卒業したいんだったら、素直に従え」

そう言うことだったんだ。良かった。私は、心の中で思った。でも、男性教師の前で下半身を曝け出さなければならないのに“良かった”って思うのは変な話だ。

私は、一気にブルマーを足首まで降ろした。


やっぱり……。紺野先生が、ブルマーを渡せと言わんばかりに私に手を差し出している。脱いだばかりのブルマーを手渡すのは嫌だったけど、仕方なく渡した。すると紺野先生は、私から受け取るや否やブルマーを鼻に当てた。

「くっせぇーー。お前、ちゃんと洗濯しているのか?」

「してますよ!!」

思わず答えたが、実は今週になって、まだ洗っていなかったのだ。私は、恥ずかしさで気が狂いそうだった。

「よし、次!!」

私は、パンティのウエストゴムに手を掛け、一気に降ろした。そして、足首から抜きとった。

時間をかければかけるだけ羞恥心が膨れ上がる。羞恥心を最小限に留める為にも、一気に脱いだ。そして、自ら紺野先生にパンティを差し出した。

「股んとこ、黄ばんでいるじゃないか。お前も本来であれば大学生か社会人になっている年齢じゃないか。おしっこの後は、きちんと拭けよ」

さっきまで、女の子の大切なところに直接触れていた部分を、紺野先生は撫でながら言った。

変態!! エロ親父!! むっつり助平!! 私は、心の中で罵った。


「さぁー、始めるぞ。卓球台の上で体育座りをしろ。その後は、限界まで股を開け!!」

これ以上、自分の立場を悪くすることは出来ません。素直に、卓球台の上で体育座りをしました。これで足を開けば紺野先生の指示通りの格好です。でも……。

「何をしている。早くしろ!!」

紺野先生が私を急かしてきました。紺野先生を怒らせてしまえば、ますます私の立場が悪くなります。私は覚悟を決め、足を開きました。

「もっと、もっとだ!!」

さっきより口調が荒くなっていました。怒っているのでしょうか。私は、限界まで足を開きました。

「開けるんだたっら、最初から開いておけ。本当に、愚図なんだからお前は」

恥ずかしい!! 死んでしまいたいぐらいの気持ちでした。それに……。正直、卒業できなくても良いかなという気持ちにもなりました。

「よし、と」

予想通りですが、紺野先生はパイプ椅子を持ってきて、私の前に座りました。恥ずかしくて、恥ずかしくて、気が狂いそうでした。でも、なんとか自分の理性を保っていました。そんな時でした。


「西野さん、こんなところに居たの? って、なんて格好をしているのよ?」

女性体育教師が入って来ました。

「羞恥心を克服する訓練です」

私は、答えました。

「はっ、はぁーん。また、ブルマー姿を恥ずかしがって、必要以上にブルマーを触ったりしたんでしょう。私にも経験があるから、あまり強く言えないけどね」

そういうと、女性教師は紺野先生の方を向いた。

「紺野先生、西野さんは数学の授業がありますので、後の指導は私に任せて下さいませんでしょうか?」

「いえ、指導は私が行います」

「やはり、女子生徒への指導は、女性教師の私の方が適任だと思いますけど」

「いや、私が……」

「ブルマーを脱がせるだけだったら許容範囲だと思いますが、下半身を裸にさせる指導は、いかがなものでしょうか? 行き過ぎた指導と捉えられても仕方がないように私は思いますが」

まだ何かを言おうとしている紺野先生の発言を、制止させるかのように女性教師が言った。それに対し、紺野先生は何も言えなくなってしまった。


「長谷川先生は、今、どうなさっているのでしょうね」

「分かりました。では、後はお任せします」

女性教師の続けて言った言葉に、紺野先生は了承しました。明らかに不服そうな表情でした。若くて綺麗な女性教師にやり込められたのですから、当然と言えば当然でしょう。

紺野先生が出て行ったのを確認すると、女性教師は私にパンティとブルマーを返してくれました。そして……。

「ブルマーとパンツを穿きなさい」

「ありがとうございました」

私は、本心からお礼を言うと、急いでパンティとブルマーを穿きました。

「貴女に何らかの罰を与えないと、紺野先生の手前、ね」

「分かっています」

「残りの授業は、体操服で受けなさい。全ての授業が終わったら、制服に着替えても良いからね」

「はい」


「それと、次の体育の授業は、下着禁止ね」

「下着禁止?」

「下品な言い方をすれば、ノーパン・ノーブラってことよ。恥ずかしいかもしれないけど、一日だけの辛抱だからね」

「分かりました」

「じゃあ、授業に戻りなさい」

「はい。でも、一つだけ聞いても良いですか?」

「いいわよ」

「先生も、学生時代はブルマーだったのですか?」

「そうよ。私の学生時代は、ブルマー全盛期ね。今でこそ、ブルマーを採用している高校は、うちぐらいになってしまったけど、私の頃は半数以上はブルマーだったわよ」

「恥ずかしく無かったですか?」

「恥ずかしく無かったって言ったら、嘘になるわよね。でも、ブルマーは、体育における制服なの。恥ずかしいから穿きたくないっていう我がままが許されたら、統率がとれなくなるでしょう」

「そうですよね」

「貴女も、もう少ししたら卒業なんだから、我慢しなさい」

「出来ますよね?」

「それは、貴女次第ね」

「分かりました。ありがとうございました」

私は、お礼を言うと、もう一度頭を下げ、体育館を後にした。


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