投稿作品集 > 名門黒咲高校水泳部 p.11

このストーリーは、bbs にて、鳳仙 氏より投稿していただいた作品です。 この作品の著作権は 鳳仙 氏にあります。



制限時間を決められたものの、罰ゲームの内容までは聞かされてはいない。

故に大野、菅谷は暗い表情となるも、雰囲気的にはさまで深刻そうでなく、『紗香がクリア出来た』という事実に、幾分軽く考えている節がある。短縮された二人がそうであるから、中村や上木にしてみれば余裕すら感じられた。

唯一、彼女達が気にしているのは、お尻丸出しでクリップという情けない格好だけである。

「……あの……立花先輩、一つ聞いてもいいですか……?」

四人の中で、特にお尻を赤く腫らした中村が、おそるおそる訊ねた。

「何だ、中村?」

「あの……どうしてもこのクリップを付けないといけないでしょうか?」

立花は思わず笑った。あれほど伝統行事の意義を詳しく話したではないか。一体こいつは人の説明を聞いているのかと、不思議に思えてくる。


「中村、何の為の指導か、もう一度説明が必要か? それに、お前は紗香を笑ったよな? 他人はよくて、自分は嫌は通るのか?」

王の笑顔が呆れ果てた末のものと、彼女にも分かったのであろう、恥じ入るが如く俯いた。

「……あ、いえ、すみませんでした……」

「中村、30秒の短縮、いいな? それよりお前ら、何故制限時間が有るのか、分かってるんだろうな?」

「えっ!? 何かあるんですかっ!?」

思わずそう聞いたのは菅谷である。もっともそれは彼女だけでなく、他の三人も意外とばかり驚いている。

赤いお尻を丸出しにして校内を彷徨く、これほど情けない事も無いだろう。そもそもこの行事自体、罰ゲームみたいなものである。それが彼女達の伝統行事の受け止め方であった。


「あのなお前ら、この指導は罰じゃなくて、メンタル……」

立花は何か言い掛けたが止めにした。

『結局コイツらは揃いも揃って、何も聞いちゃいない……』

これ以上言葉を重ねても無駄であると判断し、馬鹿の質問を無視した。

「よし、3時55分から始める。あと20秒くらいだ、準備はいいかっ!?」

「えっ? ちょ、ちょっと先輩っ!」

「お前ら、この指導を考え違えるな。そして、俺が何を言いたいか、その悪い頭で考えながら挑めっ。……よしっ、指導開始っ!」

開始の宣言を受け、四人は慌てて部室から出ていった。


「立花先輩、絶対怒ってるよね!?」
「今更聞くまでもないでしょっ」
「それよかどうすんの……」

部室の外から、慌ただしい喧騒が聞こえ、そして遠ざかっていく。四人が女子更衣室に靴を取りに行く迄、あの調子であるのは間違いあるまい。

『身体能力だけじゃ、一番は取れねえんだよ』

立花はドアを見つめ、憐れむが如くため息をついた。

……

ここで時間を戻したプールの様子を書いておく。

立花達がシャワー室に入り、中村達がプールから出た後、涼子は皆を集め、こう説明した。


「これより連休中、伝統行事を行うっ。これは1年、2年の女子全員が受ける事になり、日替わりで交代する。今日は中村達が当番であり、既に男子部室へと向かった。そこでここにいる全員だが、号令あるまで自主トレや交流をやっててよしっ。

言っとくが、遊びじゃないぞ? 水泳以外の会話をした奴は全裸で教育だからなっ! それから佐々木っ、お前は話があるから残れ。以上っ!」

「「「はいっ!」」」

男女の平民と奴隷は返事をすると、佐々木を残して各々散らばっていった。そして男女混合のグループが幾つか出来ると、平民が飛び込みのタイミングや、泳ぎ方のアドバイスなどを奴隷に教え始めた。

「佐々木、ついてこい」

一人佇む彼に、涼子はそう声を掛け、屋内プールに備え付けられた別室へと誘った。

「はいっ」


返事をしたものの、彼は不安そうな顔をした。

が、その不安そうな顔は、すぐに弛んだ。前を歩く涼子は水着姿である。故に、引き締まったお尻が、いやがおうにも視界に入る。

『涼子先輩のお尻、いい形だな……』

昨日、女子部員からあれだけ酷い目に遇わされながらも、彼はそのお尻に釘付けとなった。思いの外懲りてないのか、はたまた鈍く出来てるのか、彼女の後ろを、半ば嬉々としてついていく。何故、別室に連れて行かれるのか、気にする様子が全く見えない。

二人、小部屋に入ると、涼子は鍵を掛けた。

「さて、佐々木」

「はいっ」

形の良いお尻から、涼子の顔へと視界が変わる。改まった王の表情に、彼は漸く緊張を覚えた。


「お前にとって、実に不本意であろうが、今から追加の教育に入る。理由は、昨日の全裸組のお尻で分かるだろ?」

やや申し訳なさそうに涼子が言う。彼への追加罰は、立花から指摘された事であり、潔さが信条の彼女としては、「一度許した事」について、前言撤回したような後ろめたさがあった。

「えっ? ……つ、追加の教育ですか……!?」

女子全員からの屈辱なベルト打ちを受けた彼。思わずおうむ返しに聞いたのは、致し方無いことだ。

王に対して、許された返事は「はい」だけである。佐々木は言った後で、自身の失言に顔をしかめたが、意外にも涼子は顔を綻ばせた。

「返事ははいだろっ。早い話、お前に対する罰が甘かったと言う事だよっ。特別に膝の上、平手で叩いてやるが受けれるよなっ!?」

正直涼子は、昨日の女子部室の件で、彼は今日の練習に来るまい、そして十中八九辞めるだろうと思っていた。そして彼が、休まず来た事を意外とすると共に、その根性を認めたのだ。


故に、ご褒美という意味も含め、身体を密着させる膝の上でのお尻叩きを提案したのである。無論、断ったところで、罰が厳しくなるだけなのは言うまでもない。

「え? 膝の上ですか……?」

いまいち言葉の意味を理解してない彼に、涼子は笑みを浮かべた。そして椅子を部屋の中央に置き、そのまま腰掛けた。

「何? 私の膝じゃ嫌なのか? 言っとくけど、私の膝の上に憧れてる奴も居るんだからなっ。いいから早く膝に俯せになれよっ」

そう言って自分の膝頭を叩いて催促した。言葉使いはいつも通りだが、声は明るい感じである。とても王の教育とは思えぬ和やかムードに、彼は逆に戸惑ってしまった。

「あ、あの……僕が涼子先輩の膝に乗るんですか……?」

「そうだよ。お尻叩きは膝の上が、もっとも一般的だろ?」

「あ、は、はいっ!」


もとより拒むところではない。同じ叩かれるにしても、女子の先輩と肌を触れ合える事は、彼にすれば喜ばしい。それに平手で叩くと、涼子は言った。ならば、痛みに関して云えば、昨日より全然マシであろう。

「涼子先輩っ、それでは失礼ますっ!」

彼は元気よく答えると、彼女の膝に身を委ねた。そしてその顔は、明らかに喜悦を湛えており、本来屈辱的である筈のお尻叩きを、嫌がる素振りが微塵もなかった。

何故か。つまりそれは、彼が昨日の教育で性的な興奮を覚えたからに他ならない。

確かに、苦痛と屈辱も巨大なものであった。にもかかわらず、涼子や女子に全裸で打たれ、晒し者として見られた事が、時間が経つにつれ奇妙な快感へと繋がったのである。

早い話、彼はMに目覚めたといえる。とはいえ、自覚がある訳ではない。あくまでも漠然たる感覚である。

そして今まさに、子供扱いに似たお尻叩きを受けるのだが、羞恥が快感に、屈辱が興奮へと変化した。しかも、涼子の素足に触れた事で、たちまち分身を隆起させた。


「何だよ? またお前勃起してんのか? 全くしょうがない奴だなっ」

涼子はそう言うも、怒ったような声ではない。少々、呆れたような感じだが、決して咎めた雰囲気もない。代わりに彼女の唇辺には、それを予想していたような笑みが浮かんでいた。

「涼子先輩っ、ご、ごめんなさいっ」

彼は、「すみません」でなく、甘えたように「ごめんなさい」と口にした。

「別にいいよっ、私も男の生理現象くらい知ってるからっ。じゃあ、水着脱がすぞ? 遥斗、覚悟はいいな?」

「はいっ! 涼子先輩っ、厳しいお尻叩きを、宜しくお願い致しますっ!」

彼は嬉しさの余り、上擦った声で応えた。その嬉しさとは、涼子が自分を名前で呼んでくれた事である。

「よしよし、手加減は一切しないからな? 泣いていいから、最後まで我慢するんだぞ?」


涼子は彼の水着に手を掛けた。そして一気に膝下まで降ろした。

それに驚いたのは佐々木本人である。自身、勃起してるし、涼子もそれは承知の筈だ。故に、分身が直に触れないように、お尻だけを丸出しにすると思っていた。

何はともあれ、隆起した分身を王の素足に密着させる無礼は慎むべきである。彼は、慌てて腰を引いた。

「おいおい、何やってんだよ遥斗っ? それじゃ、叩きにくいだろっ」

「で、でも先輩……ぼ、僕のが、足に……着いちゃいます……」

「いいよそれくらいっ。何の為の膝の上だよっ」

涼子は彼の股間に手を差し込むと、そのまま手元へと引き寄せようとする。佐々木は、感動と興奮と快感に包まれながら、自ら身体を前に進ませた。

『りょ、涼子先輩の素足に俺のが……』

逞しいながらも、滑らかな肌の感触が心地よい。彼の分身は、心臓の鼓動に比例するかのように、硬度を増していく。


「数は決めない、私の裁量で終わりを判断するからなっ。じゃ、いくよっ!」

彼の興奮状態とは対照的に、涼子は動じた様子はない。しかし、微妙な言葉遣いの変化と、いつもの厳しさが見られないのは、彼女が素顔を垣間見せたとも云えるだろう。

バチィッ!

「……っくっ!」

とはいえ、その懲擲には、言葉通り一切の手加減は無かった。

バチィッ!

「ううっ!」

バチィッ!

「くふぅっ!」


瞬く間に色づいていく佐々木のお尻に、涼子は目を細めた。そして彼の悲鳴が聞きたいのか、息もつかせぬ連打へと変わった。

バチィッ!
バチィッ!
バチィッ!

「くっ、……ああっ、いっ……、いたぁっ! りょ、……涼子ぜんぱ……い、痛いれすっ!」

灼けるような痛みに、彼は涼子の平手を軽くみたことを後悔した。

「ばかね……痛いからお仕置きじゃないっ。それに、まだ始まったばかりだからねっ!」

「ぞ、ぞんなぁ……」

涙目となった彼だが、涼子はその反応に笑み崩れた。まるでその様は、男子のお尻を叩くのが愉しくてしょうがない、と見れない事もない。

そもそも、昨日のダメージも残っている彼の尻だ。いくら平手打ちとはいえ、鍛え抜かれた涼子の懲擲は、堪えて当然である。


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