投稿作品集 > 東第一中学校 長谷部浩之編 『妄想』 追記 p.01

このストーリーは、bbs にて、hiro 氏より投稿していただいた作品です。 この作品の著作権は hiro 氏にあります。



――その後――

授業が終わった俺は、一目散でグラウンドに走った。だが、グラウンドには三木さんたちの姿はなかった。

俺は、三木さんたちを探した。すると、バレー部の連中が外コートと呼んでいる体育館横で、不自然な格好で立っている一人の女子生徒を発見した。

その格好は、はっきり言って異常だ。なぜなら、その女子生徒は、パンティを膝に貯めた状態で体育館の方を向いて立たされているのだ。

いや、それだけではない。壁に向かって何かを呟いている。

俺は、偶然を装いながら女子生徒に近づいた。

「申し訳ありませんでした」
「申し訳ありませんでした」
「申し訳ありませんでした」

女子生徒は、壁に向かって謝っていたのだ。それも、つま先立ちという姿で。踵の下には、卵が置かれている。

踵を降ろせば、卵が割れる。割れれば、当然、追加罰だろう。追加罰の内容は、聞くまでもない。彼女のお尻は、ほんのりとではあるが赤く染まっていた。

「膝パンツで挨拶特訓か。厳しいなぁー」

聞き覚えのある声に振り向くと、静香が俺の後ろに立っていた。

「いつの間に?」

「ずっと、一緒に居たよ」

「そうだったんだ」


「で? どうしたの? 陽子ちゃんのことが気になるの?」

「陽子ちゃんって、静香、あの子のこと知っているのかよ?」

「7組の井上陽子ちゃんだよ。例の三木さんの親友よ。本人たちは小学校からの腐れ縁だよとか言ってるけど、とっても仲がいいわよ」

「俺たちみたいにってことだな」

「バーカ」

馬鹿とか言っときながら、静香のやつ、こんなに言われるのが好きなくせに。そんなことを考えながらも、つい……。

「親友に罰を与えたのか……」

思わず俺は、口にしてしまった。

「えっ? どういうこと?」

流石に嘘をつける状況ではなかったので、俺は知る限りの情報を静香に話した。

「なるほどね。三木さんは、誰かに罰を与えなきゃならないんだったら、親友の陽子ちゃんに与えようと思ったわけね」

「へぇー、俺だったら、一番嫌いなやつに与えるだろうけどな」

「だから浩は、まだまだ子供だってことよ」

「うっせぇ!!」

俺と静香が、そんな会話をしていると……。


「やっぱり来たんだ」

確認するまでも無いだろう。声の主は、堀川先生だった。

「いや、ちょっと……」

それ以外の言葉は見つからなかった。

「長谷部君が来てくれているわよ。こっちを向いて挨拶をしなさい」

「イャ……」

当然だろう。今、振り向けば最も恥ずかしい部分を俺に見られることになる。お尻を見られるのは仕方ないにしろ、女性器を男子生徒に見られるなんて考えられないことだ。

「私の言うことが聞けないのかしら? それとも、貴女のクラスの女子生徒全員に、今の貴女と同じ格好をさせたいから、私の言うことを無視しているってことかしら?」

「そんな、ことはありません」

「だったら、さっさと、こっちを向きなさい!! そして、挨拶しなさい!!」

「ご、ごめんなさい」

井上さんは、謝りながら俺の方を向いた。

おっぱいは、中の上って感じかな。あそこの方は……? あれ? 全く生えていない。 中3にもなって、まだ生えていないんだ?

「こんにちは」

「あぁ、こんにちは」

挨拶しろと言われて井上さんは俺に挨拶をしたが、それ以上の会話は繋がるはずもなかった。


「体育祭の練習の時、貴女のブルマーを脱がせたことがあったわね」

堀川先生が、言った。

「はぃ……」

「貴女!! 教師に対する口の利き方もしれないの!!」

「えっ?」

「ブルマーを脱がせていただきましたとか、その節はお見苦しいものをお見せすることになって申し訳ありませんでしたとか、いえないの?」

「すみません。あのときは、お見苦しいものをお見せして、申し訳ありませんでした」

「あのときは、生えていたわよね?」

「えっ?」

「いちいち聞き返さない!! 私の言葉の意味ぐらい、分かるでしょう!!」

「す、すみません。は、はぃ……。あのときは、生えていました」

「じゃあ、どうして今は生えていないの?」

「そ、それは……」

答えに苦しむ井上さんに対し、堀川先生は質問を続ける。

「まさか、彼氏に剃らせてあげたとかじゃないでしょうね?」

「違います!! それは、絶対に違います」

井上さんは、ムキになって否定した。

ムキになるってことは、もしかして? 俺には、そんな発想しか出来なかった。


「そう。じゃあ、どうして?」

「ゎ……、私……」

「いいから、早く答えなさい!!」

「この前、堀川先生が休まれたとき、松尾先生が授業をしてくれたことがあったんです」

「あったわね」

堀川先生が相づちを打つ。

「で?」

「その時、下着検査をされたんですけど」

ベチーーン!!

堀川先生のビンタが炸裂した。

「その言い方だと、なんだか不満があるみたいな言い方ね!! 貴女みたいな乳臭い子の、汚いところを見て貰っているのに、感謝の気持ちは無いの!!」

「す、すみません……」

井上さんは、謝った。

体育の時間に下着検査をされるってことは、裸を見られることになる。この年頃になると、父親にだって見せることのない姿を、赤の他人に、ましてや男性教師に見られて、どうして感謝しなければならないのだろうか。

俺は、横で聞きながら思った。


「下着検査をしていただいたのですが、なかなかブルマーが脱げず、罰として丸坊主になるように言われたのですが、陰毛を剃ることで許していただきました」

「今の言い方も少し気になるけど、まぁー、許しましょう」

「ありがとうございます」

「で? 剃ったのは、誰?」

「えっ?」

「そのままの意味だけど!!」

「三木さんに剃って貰いました」

「その後、松尾先生に確認はして貰ったの?」

「いいえ」

「そう、分かったわ。じゃあ」

堀川先生が、まだ何かを言おうとしたときでした。

「堀川先生!! 3年7組の三木って子が、三人の女の子にイジメられていると報告がありました。今から3年7組の教室に行くので、堀川先生も一緒に一緒に来てください」

まさか!!

俺は、心の中で思った。堀川先生は、俺たちを残して飛んでいった。

「君も一緒に行くよ!!」

俺は、井上さんの腕を引っ張りながら堀川先生を追った。


堀川先生や俺たちが教室に着いた頃には、既に全員が席に着いていた。その周りを取り囲むように先生たちが立っていた。

「今回のイジメの原因は、連帯責任の原因となった三木に不満をぶつけたことが始まりのようです」

一人の女性教師が堀川先生に報告した。

やっぱり……。

今度もまた、俺は心の中で思った。

「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。連帯責任の指示を出したのは私ですので、あとは私の方で対処しておきます」

「じゃあ、後はお任せしますね」

堀川先生の言葉に、集まっていた先生たちは次々と教室を出て行った。面倒くさいことはご免とでもいっている雰囲気のように感じた。

「もうすぐ授業が始まります。男子は教室で授業を受けていなさい。女子はパンツ一枚になって校門前に集合!!」

堀川先生の言葉に、躊躇する者はいない。ましてや、理不尽とも思える指示にもかかわらず、誰一人として文句を言うものもなかった。

女子生徒たちは立ち上がると、一人、また一人と制服を脱ぎ始めた。ようやく着ることが許された服を、女子生徒たちは再び脱ぐことになった。

「パンツ一枚になった者は、早く移動しなさい!!」

パンツ一枚になったものの中々教室から出て行こうとしない女子生徒たちに業を煮やしたのか、堀川先生が叫んだ。

その言葉に、女子生徒たちは入口の方に向かって歩き出した。当然、俺たちの前も女子生徒たちは歩いて行った。

そんな中、お尻が茶色く染まっている者がいた。パンツ一枚という姿で、グラウンドで体育座りをさせられたんだと、すぐに分かった。

俺は他の女子生徒たちのお尻にも目をやったが、土で汚れている者は極少数だった。さっきは、ブルマーを着用できた者も多かったが、今回は全員がパンツ一枚なんだと実感した。

気がつけば、教室の中には男子生徒の姿しかなかった。

「さぁー、私たちも行きましょう」

井上さんは良いとして、何故だか俺と静香もついて行くことになった。


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