投稿作品集 > 東第一中学校 長谷部浩之編 『妄想』 p.01
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体育祭が終わり、ようやく通常の授業に戻った。
体育は嫌いではないけれど、行進訓練みたいな授業は大嫌いだ。あんな授業を受けるくらいなら、普通の授業を受けている方がマシかもしれない。
いや……、でも……、やっぱり……、体育の方が良いかな……?
そんなある日のことだった。
――ブルマー没収――
今日は、化学の実験が予定されていました。
化学の実験では、女子生徒たちは体操服に着替えることになっています。
『女子生徒たちは』としたのは、言うまでもありません。俺たち男子生徒は、着替える必要が無いからです。
まぁー、“スカート姿だと危険”という理由で着替えなければならないのだから、俺たちにとっては関係が無いと言えば関係の無い話しではある。
だが、それが本当の理由なのであれば、長袖体操服やロングパンツの着用を認めても良いはずです。それなのに女子生徒たちは、どんなに寒い真冬であろうとも、長袖体操服やロングパンツの着用は認められておりません。
よって、一切の例外なく、女子生徒たちは半袖体操服とブルマーに着替えなければならないのです。
これは、理科教師である溝畑先生の指示ではありません。3年生の女子を担当する体育教師、堀川先生の指示なのです。
まぁー、2年生の女子を担当する小石川先生も同様の指示を出しているみたいなので、学校の方針というべきなのかもしれません。
保健体育同様に、女子生徒たちはモゾモゾと着替え始めます。そんな中、白井さんがスカートを脱ぐと、体操服の裾をパンティに押し込んで教室を飛び出していきました。
えっ?
俺が疑問に感じていると……。
「私も、ゆかりと同じ格好をしなくちゃいけないんだ……」
静香が俺に、ボソッと呟きました。
「どうしたんだ?」
「どうしたんだって、どういう意味?」
「なんで、パンツ姿にならなくちゃいけないのかってことだよ」
「ブルマーを没収されたからに決まっているじゃん」
静香は、あっさりと答えた。
「だぁー、かぁーー、らぁーーー。どうして、ブルマーを没収されたのかってことだよ。なんか、悪いことでもしたのかよ?」
「悪いことなんて、していないよ。私、いつも真面目だし……」
「だったら、どうして?」
「ブルマーを没収するのに、理由なんて必要あるの?」
「どういう意味だよ」
「これが、堀川先生の主張」
「俺には、全く意味が分からいよ」
「マット運動をしていたとき、堀川先生がゆかりに“ブルマー”って言ったのよ。当然、ゆかりは“どうして”って聞く。その答えが“ブルマーを没収するのに、理由なんて必要あるの?”だったてな訳」
「で、白井さんは、どうしたんだよ?」
「脱いだに決まっているでしょう。ブルマーって言われれば、ブルマーを脱ぐ。私たちにとっては、当たり前のことなんだから」
「……」
俺には、何も言えなくなってしまった。だが、ふと俺の脳裏をよぎったことがあった。
「ブルマーを脱がされて、その後、まさか、マット運動を?」
「当たり前でしょう」
「当たり前って簡単に言うけど、おまえたち、ブルマーを脱いだら、あのぉー、そのぉー、なんだなぁー」
「はっきり言えば? 余計に、いやらしく感じるよ。そうよ、その通り。下半身は、すっぽんぽんよ。でも、ゆかりは、ブルマーを穿いている時と同じように、真剣に取り組んだわ」
「なのに、授業が終わっても、ブルマーを返して貰えなかったのか?」
「うっ……、ぅーん……、まぁー、正確に言えば、開脚のとき足の開きが小さかったのよ、ゆかり。たぶん、恥ずかしさのあまり、充分な開脚が出来なかったんだと思うの……」
当然だろうな。俺は、そう思った。
「それを、股関節が硬いからだと堀川先生に言われて、松尾先生にマッサージして貰おうかって話になったんだ」
「して貰ったのか?」
「うぅーうん。して貰っていないよ。だから、余計にブルマーを返して貰えなかったのかもしれないね」
「そうなんだ……。で、静香は、どうして没収されたんだ?」
「多分だけど、今日は化学の実験が予定されているのを知っていて、ブルマーを没収したんだと思う」
「誰が?」
「決まっているでしょう。堀川先生よ」
「……」
ここでもまた、俺には何も言えなくなってしまった。それよりも、気になったことがあった。
「もしかして、静香も……?」
「ぶっ、ぶぅーーー!! 残念でした。私は、授業が終わってからの没収だったから」
「授業が終わってから没収されることなんて、あるのかよ?」
「だから、化学の実験があるのを知っていての没収だと私が思った訳」
「そうなんだ」
結局、俺には、それしか言えなかった。
「そろそろ行かなきゃね」
そう言うと、静香はスカートを脱いだ。そして、白井さん同様に体操服の裾をパンティの中に押し込むと……。
「さぁー、行くよ」
静香は、まるでブルマーを穿いている他のクラスメイトたちと同じであるかのように俺の手を引っ張った。
――妄想――
あの白井さんが、下半身裸で……。開脚前転や開脚後転を……。考えるだけで、俺は興奮してきた。
「白井さん、どうしたの? 私は、ブルマーと言ったのよ」
冷酷に言う堀川先生。そんな中、白井さんはブルマーのウエストゴムに手を掛ける。
同性とはいえ、見られながらブルマーを脱ぐのは恥ずかしかった。羞恥に耐えながらブルマーを脱ぐと、片足ずつ上げてブルマーを足から抜き取った。
白井さんは、左手で必死に陰部を隠しながら、脱いだばかりのブルマーを足元に置く。
「それでも貴女は女の子なの!! 綺麗に畳んで、体育館の隅っこにでも置いてきなさいよ」
堀川先生の罵声が体育館に響き渡る。白井さんは慌ててブルマーを拾うと、綺麗に畳み、舞台の上に置いてきた。
「気を付けでしょう!!」
必死で隠していた左手を、陰部から身体の横に移動させる。当然のように、陰部は丸見えになった。
中学1年生であれば、まだチョロチョロとしか生えていない者も居るだろう。だが、3年生にもなれば、それなりに生え揃っている。中には、ジャングルのように生い茂っているものも居るだろう。
白井さんはというと、普通といった感じだった。特に薄い訳でもなく、かと言って多い訳でもない。標準的な量だろう。
って、何で、そんなことを俺が知っているんだ?
今の彼女の格好は、アンバランスだった。上半身は、半袖体操服を着て、きっちりとしている。一方の下半身は……。靴と靴下以外に、何も付けていなかった。
その上、隠したいであろう陰部を、完全に披露している。体操服の裾を引っ張れば、すぐにでも隠せる。何よりも、手で覆えば隠すことが出来る。
それなのに、その両方を堀川先生の命令ですることが出来ないのだ。
自分の身体のはずなのに、自分の意思では何も出来ない。それがまた、屈辱にも繋がっていく。
「あらぁー、白井さん。あそこの毛、一段と伸びたんじゃないかしら?」
同性故に分かる恥ずかしさ。それを、堀川先生は巧みについてくる。
「……」
白井さんは何も答えない。と言うより、答えることが出来る質問では無かった。
「駄目でちゅねぇー、中学生にもなって、お口が付いていないんちゅかねーー?」
明らかに、白井さんを馬鹿にした口調だった。
「前と、変わっていないと思いますが……」
追加罰を恐れたのだろうか。白井さんは、口を開いた。
「前って、いつのことでちゅかぁー?」
「みっか、まえ……」
「三日前にも、ブルマー脱いだんでちゅかー?」
「はい、脱ぎました」
「ブルマーを脱いだら、おまんこが丸見えになっちゃうと思うんでちゅが、恥ずかしくないんでちゅかー?」
「はい、恥ずかしくないです。私は、まだ子供なので、見られても恥ずかしくなんてありません」
「そうなんでちゅかーー? だったら、みんなに見られても大丈夫でちゅねぇー?」
「はい、大丈夫です」
白井さんは、嘘八百を並べ立てる。そうしなければ、余計に辛い思いをすることは、今までに嫌というほど経験している。
「だったら今日も、みんなに見て貰わなくちゃならないんちゅから、真面目に取り組むんでちゅよぉーー」
「はぃ……」
「じゃあ、先ずは貴女から!! 開脚前転!!」
白井さんは、顔を真っ赤にしながら開脚前転をする。
「駄目よ、駄目、駄目!! 全く駄目!! 足はマットの外に出るぐらい開きゃなきゃ。もしかして、近くで皆に見て貰わないと真面目に取り組めないのかしら?」
「そんなことは、ありません」
「だったら、真面目に取り組みなさい」
「はい」
白井さんは、もう一度、開脚前転をする。
「駄目よ、駄目、駄目!! 全く足が広がっていないじゃないの!! もう一度!!」
白井さんは、もう一度、開脚前転をする。
「駄目!! 駄目!! 全く駄目!! もう一度!!」
「もう一度!!」
「もう一度!!」
「もう一度!!」
「もう一度!!」
白井さんは、何度もやり直しをさせられる。だが、一向にOKは出ない。
「もう一度!!」
「もう一度!!」
なおも真剣に取り組む白井さんに、堀川先生は……。
「白井が、みんなに近くで見て貰わないと、真剣に出来ないんだって。だから、みんな見てあげて」
堀川先生の言葉は、命令では無い。だから、拒否することも出来る。だが、拒否すれば、火の粉が自分に降りかかってくるかもしれない。結果的に、全員がマットの周りに集まってくる。
「白井さん、良かったわね。みんな、見てくれるって。これだったら、貴女も真剣に取り組めるでしょう」
「はい。ありがとうございます。みんなに見て貰えて、嬉しいです。ご配慮、ありがとうございました」
勿論、本心では無い。だが、それしか白井さんは答えられない。
「さぁー、いつでも良いわよ。おもいっきりお股を広げて、みんなにおまんこを見て貰いなさい。言っておくけど、私が納得するまで何度でもやり直しをさせるからね。だから、さっさと、お股を広げた方が身のためだと思うわよ」
白井さんは、開脚前転をする。もう、これ以上は無理って言うほど限界まで足を広げている。
「はい、OK!! やればできるじゃないの!! 今のは完璧だったわ。だから、みんなのお手本に、もう一度、見せてあげて」
「そ、そんな……」
落胆する白井さん。
「時間が、もったいないわよ。早く、みんなにお手本を見せてあげて。それとも、男子にも見て貰いたいから、愚図愚図しているのかな?」
「それだけは止めて!!」
白井さんは、もう一度、マットの前に立つ。そして、開脚前転……。
「やっぱり見事ね。もう一度、みんなに見せてあげて」
開脚前転……、開脚前転……。ひたすら、開脚前転をさせられる白井さん。そんな白井さんの目からひと筋の涙が……。それに気付いたからか、堀川先生は……。
「はい、各自、自分のマットに戻って練習再開!! 次は、開脚後転よ!!」
「はい」
堀川先生の指示に声を揃えて返事をすると、クラスメイトたちはマットに戻っていった。そんな中、白井さんは動けずに居た。
「貴女も、早く戻って練習を再開しなさい!! それとも、パンティまで没収されたいの!! 今日は化学の実験があるんでしょう!! パンティまで没収されたら、男子にまでおまんこを見られることになるわよ!!」
堀川先生の冷酷な言葉にも反論することなく、白井さんは自分のマットに戻っていった。
パックリと開いた割れ目……。堀川先生には、奥の奥まで見えたことだろう……。白井さんは、どんな気持ちなんだろう……。
そんなことを気にしているのかどうか分からないが、白井さんは開脚後転の練習を始めた。だが、開脚前転の時とは違い、上手く出来ていない様子だ。
そんな白井さんの元に、堀川先生が近付いていく。
えっ? うそ!!
「ここの筋肉が硬いんじゃないかしら?」
そう言いながら、割れ目周りをマッサージしていく。
「マッサージ、私より松尾先生の方が得意だから、今、呼んできてあげるね」
マジ!!
男の松尾先生に、そんなところをマッサージされたら……。白井さんは……。
――現実――
「浩!! 浩ってばぁー!!」
「あっ、ゴメンゴメン」
「私の話、聞いていなかったでしょう?」
「聞いてたよ」
嘘だ。俺は、全く聞いていなかった。もし、話の内容を聞かれたら、終わりだ。でも、我ながら、あそこまで妄想をくり広げられるとは思ってもいなかった。
「で、どうなのよ?」
ヤバイ。俺には、何の話だか、全く分からない。何も答えられないでいる俺に向かって、すかさず静香が言った。
「やっぱり、聞いていなかったんだ」
「ちげぇよ。ちょっと、間が開いたから分からなかっただけだよ」
「さっきの話だよ。もしも、私も下半身裸でマット運動をさせられていたとしたら、浩は、どう思ったって話」
「あぁ、あれか。嫉妬したかな?」
「嫉妬?」
「うん、嫉妬」
「どうして?」
「うぅーーん。上手く言えないけど、俺の知らない静香を見られた。そんな気持ちかな?」
「ふぅーーん」
納得したような、納得していないような、そんな表情を見せながら静香は再び話しだした。
「もしかして、私のアソコ、見てみたいの?」
コクン。
俺は、素直に頷いた。
「素直で、よろしい。また、今度見せてあげるね」
静香は、意味深な発言をした。
「とにかく、中に入ろうぜ」
俺は、静香の腕を引っ張って中に入った。理科室に入ると、下半身パンツ姿の白井さんと、溝畑先生が実験の準備をしていた。
「白石も、パンツ姿か?」
溝畑先生は、疑問視する様子もなく言った。
「はぃ……」
静香も、当たり前であるかのように返事をした。
「お前たち、あんまり世話を焼かすんじゃないぞ!!」
「す、すみません……」
静香は、謝った。何故、謝らなければいけないのか俺には分からなかった。
「今日は、そんな格好な奴らが、多いなぁーー」
「そんな格好って?」
思わず俺は、溝畑先生に聞いてしまった。
「いや、さっきの時間も、堀川先生にブルマーを没収されたって言う女の子が五人も居たからな。まぁー、その中の一人はパンツまで没収されていて、下半身裸で授業を受けに来たから、流石にスカートを穿くように指示したけどな」
「それって、ちなみに誰ですか?」
「7組の三木だよ。流石に、そんな格好で授業を受けさせる訳にはいかないから、特別にスカートを穿くことを許してやるって言ったのに、あいつ、このまま受けさせてくれって泣くんだ」
「で、三木さんは、スカートを穿いたんですか?」
「当たり前だろう。先生は、教師なんだから」
三木さんって、どんな子なんだろう? 可愛いのかな? 身長は高い方かな? 太いのかな? 色んなことが脳裏をよぎる。
「スカート姿で授業を受けたことを堀川先生が知ったら、三木さん、どうなっちゃうんだろうね」
静香が言った。
「えっ?」
「さっきも言ったように、堀川先生は、化学の実験があること、つまり、体操服に着替えなければならないことを知った上で、私たちに罰を与えているのよ。だから、特別にスカートを穿かせて貰ったとなると、追加罰は確定でしょうね」
「そうなんだ」
冷静に答えた俺だったが、頭の中では再び妄想が広がってきた。
キーンコーンカーンコーン・キーンコーンカーンコーン……。
そんな時、運良く? それとも運悪く? チャイムが鳴り響いた。
「席に付けぇーー!!」
溝畑先生の声が響き渡る。溝畑先生の声で冷静に戻れた俺は、急いで席に着いた。静香も、自分の席に走って行った。
そんな中、下半身パンティ姿の白井さんも俺の横に来た。まぁー、席が決まっているんだから、当然といえば当然なんだが、俺は意識してしまう。
静香曰く、今時の小学生でも穿かない純白無地のパンティ。そんなパンティ姿で授業を受ける白井さんを、意識するなって言う方がおかしいだろう。
白井さんのパンティを横目で見ていると、再び俺の妄想が広がってきた。
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