投稿作品集 > 東第一中学校 長谷部浩之編 『保健体育』 p.01
このストーリーは、bbs にて、hiro 氏より投稿していただいた作品です。 この作品の著作権は hiro 氏にあります。
――保健体育――
次は、保健体育の授業だ。
女子生徒たちは、コソコソと動き始める。俺たち男子生徒は制服姿で授業を受けても良いが、女子生徒たちは体操服に着替えなければならない。
勿論、半袖・ブルマー。
通常の体育の授業では、二クラスが合同で授業を行うため男女分かれて着替えることが出来る。だが、保健体育の授業は一クラス毎に行われる。そのため、着替える場所が存在しないのだ。
中学生にもなれば、心も身体も成長してきている。そんな女子生徒に対し、学校側は全く配慮しない。だから女子生徒たちは、俺たち男子生徒も居るこの教室で着替えなければならないのだ。
俺たち男子の視線を気にしながら、女子生徒たちは覚悟を決めた。
まず女子生徒たちは、周りを見渡す。男子生徒の視線を感じれば、そちらの方に背を向ける。そして、セーラー服を脱ぐ。
女子生徒たちは半袖と長袖といった多少の違いはあるが、皆、白無地のTシャツ姿になった。その上から半袖体操服を着る。そして、器用にTシャツを脱いでいく。
本当は、更衣規則で上半身裸になってから体操服を着ることになっているのだが、流石に先生連中も、そこまで厳しく取り締まったりすることは無い。
次は、ブルマーだ。俺たち男子生徒に下半身を見られないように、両手をスカートの下から差し入れ、モゾモゾとパンティを脱ぎ始める。そして、膝辺りまで脱ぐと、一気に足首まで降ろし、急いでパンティを両足から抜き取った。
当然、綺麗に畳んで保管することも更衣規則に定められているが、俺たち男子生徒には見られたくないという気持ちからか、女子生徒たちは畳むこともなく鞄の底に押し込んでいく。そして、ブルマーを穿く。
ブルマーを穿いた女子生徒たちは、ようやく安どの表情を浮かべながらスカートを脱ぐ。
俺たち男子生徒に下半身を見られた訳ではないが、いつ見られるか分からない恐怖心と羞恥心の中で着替えるのは、さぞや恥ずかしかったことであろう。
俺は、この光景を何度見たことだろう。転校当初、わざわざ教室で着替えなくてもトイレで着替えるなどいくらでも方法があるのに……と思っていた。
だが、トイレで着替えたことが発覚すると、教室で再更衣を指示されるのだという。その時は、更衣規則に従って着替えなければならない。
男子生徒たちの遠慮ない視線に耐えながら着替えるのは、屈辱を遥かに通り越した次元の恥ずかしさなのだという。俺は、そんな女子生徒たちに同情しつつも、10分という短い休憩時間を満喫していた。
キーンコーンカーンコーン・キーンコーンカーンコーン……。
「はい、早く席に着くぅーー!!」
堀川先生が入ってきた。俺は、急いで席に着いた。そして、机の中から教科書を探すが……。
あっ!! やべ。教科書を忘れた。ここは、素直に自己申告……。
「先生、すんませーーん。教科書を忘れました」
「仕方ないわね。隣の白井と席をくっつけても良いから、見せて貰いなさい」
「はぁーい」
俺は、白井さんの方に机を移動させた。その瞬間、思わずブルマーに視線がいった。
白井さんを含めた女子生徒のブルマー姿は何度も見ているが、今回のように、俺たち男子は制服姿なのに対し、女子は体操服姿。なんかアンバランスのような格好に、興奮を覚えるのは俺だけだろうか……。
「P.24、はい、この列、前から読んでいって」
堀川先生は、授業を始めた。いつもなら、ある程度の距離が保たれているが、今日は違う。俺が手を伸ばせば、白井さんのブルマーが触れる距離だ。
触りたい? ちょっと、ぐらいなら良いかな? いや、駄目だ。いくらなんでも、それは不味い。俺は、心の中で葛藤していた。そんな時だった。
白井さんが立ち上がった。教科書を読む順番が来たようだった。
今、俺の手元には教科書は無い。手持無沙汰だった俺は、無意識のうちに白井さんを見ていた。勿論、ブルマーを。
その時だった。白井さんが、ブルマーを触った。所謂、食い込み直し。ブルマーの太腿部分に指を突っ込んで、クイッとするやつだ。
堀川先生は、気付いていない。俺は、白井さんの秘密を一つ握った。白井さんが席に着くと同時に……。
「今、ブルマーを触ったよね?」
「えっ?」
「触ったところ、見たよ」
「……」
白井さんは、何も言い返さなかった。たぶん、心当たりがあったのだろう。
いける!!
そう、俺は確信した。俺は、白井さんの太腿を触った。
「ちょっと、止めてよ!!」
白井さんが、俺にだけ聞こえるぐらいの小さな声で言った。
「良いのかな? 今、ブルマーを触ったこと、堀川先生にチクっても?」
「……」
白井さんは、何も言い返さなくなった。これで、俺の遠慮は無くなった。
太腿を触っていた手を、ブルマーに移動させた。流石に、ここからだと、これが限界だろう。そう思っていたときだった。
「はい」
白井さんが、立ち上がった。そして、何かを答えていた。
俺は、白井さんの椅子の上で、手の平を上に広げた。その行為を、白井さんは見ていた。俺の手を払いのけてくるだろうと思っていたのに、白井さんは俺の手の上に座った。俺は、ブルマーに包まれたお尻を揉んだ。
「お願い、もう許して……」
白井さんが、俺に言った。
「長谷部君、もう止めてあげなよ」
後ろに座る女子生徒からの声……、その時だった。
「ちょっと、そこ!! 今は授業中よ!!」
堀川先生から注意を受けた。
「いや、ちょっと……」
思わず俺は、反応してしまった。
「ちょっとって、何よ!! 何があったのよ、説明しなさい!!」
こうなると、何かを言わなければなるまい。
「白井さんのお尻に手が当たっただけなのに、触りに来たとか言って白井さんが怒って来たんです」
あきらかな言いがかりだ。だが、白井さんは何も言わなかった。
「白井!! 立ちなさい!!」
堀川先生が言うと、白井さんは素直に立ち上がった。その瞬間、殆どの生徒が白井さんをチラッと見て、再び前を向いた。
「二人とも、前に来なさい!!」
結局、こうなる運命だったのか……。
俺と白井さんは、渋々前に出た。お陰で、クラス全員の遠慮ない視線が俺たち二人に集中した。
「本当に貴女は困ったものね。中学生の癖に、色気づいて」
「す、すみません」
白井さんは、謝った。
「何、モゾモゾしているの!! ピシッと立ちなさい、ピシッと!!」
「貴女は、ねぇ……」
堀川先生の説教が始まった。
これは、長くなりそうだなぁーー。
そんなことを俺が考えていたときだった。白井さんが手を後ろに回した。
「私が話をしている時に、何ですか!!」
「えっ?」
「私の話を集中して聞こうともせず、何をブルマーなんて触っているの!!」
「いえ。そんなことはしていないです」
「嘘おっしゃい!! 今、お尻に手をやったでしょう!!」
「それは、たまたまで……」
「李下に冠を正さずって諺を知っているでしょう!! 疑われるような行動をした貴女が悪いの!! それに貴女は、日頃からブルマーが恥ずかしいみたいな発言をしているから、余計に疑われるのでしょう!! ブルマーの、何が恥ずかしいの!!」
「いえ、恥ずかしくなんてありません。私は、ブルマーが大好きです」
「また、嘘をつくのね」
「嘘じゃありません。私は、ブルマーが大好きです」
「そう、そんなに好きだったら、明日から毎日ブルマー姿で過しなさい」
「いや、それは……」
「だったら、素直に言いなさい!! ブルマーの、どこが恥ずかしいの!!」
「ブルマーって、下着みたいなデザインで、それに、お尻に食い込むから……」
「お尻を見せてみなさい」
そう言うと、堀川先生は白井さんの身体の向きを変えた。
「全然、食い込んでいないじゃなの。長谷部君も見て。全然、食い込んだりしていないわよね?」
「はい、特に食い込んだりしていません」
「そうよねぇーー。ちょっと他の女の子よりは大きいお尻かもしれないけど……」
プッ!!
堀川先生の言葉が可笑しかったが、俺は心の中だけで笑いを堪えた。
「白井!! 貴女は自意識過剰なのよ!!」
「今は、たまたまで、普段は食い込んだり……」
「そう。そんなに言うなら女子生徒全員のブルマー検査でもしてみましょうか?」
「それは、止めて下さい。私が、私が悪かったんです」
「そうよ、貴女が悪いの!! 最初から認めておけば、このような無駄な時間を費やさないでも良かったのよ」
「す、すみません」
「分かったら、罰として二人で後ろに立っていなさい。そして白井は、長谷部君にお尻を触って貰いながら授業を受けるように」
「そ、そんな……」
白井さんは、落胆した様子で教室の後ろに歩き始めた。
Written by hiro.
Copyright © 2016 hiro All Rights Reserved.