投稿作品集 > 村の儀式 p.01

このストーリーは、bbs にて、のりぞう 氏より投稿していただいた作品です。 この作品の著作権は のりぞう 氏にあります。



■ その1 ふみちゃん ■

僕の住んでいる町はかなりの田舎町。小高い山に囲まれた小さな町が僕の暮らしている町だ。

山によって周囲から隔離されている事もあって、色々と古いしきたりとか習慣とかが色濃く残っている。今日は、そんな古くから伝わる風習の一つをお話ししたいと思う。

その日、町内会の会合に顔を出していた父が公民館から帰ってくると、「今回の厄娘はふみちゃんに決まったぞ」と僕に教えてくれた。ふみちゃんと言うのは僕の幼馴染の女の子。

ふみちゃんの家と僕の家とは近所同士で、ふみちゃんが僕の家に上がり込んだり、逆に、ふみちゃんの家に引っ張り込まれたりしていたので、幼い頃からお互いの家を行き来していた。

ふみちゃんはことある事に僕にちょっかいを出して来たり、世話を焼いたりする少し勝気な女の子。

常に僕よりも一歩前を歩くふみちゃんの背中を追いかけながら少しずつ成長していった僕ではあったが、その関係が一時的途絶えた事があった。


それは、僕が小学校の低学年の頃の事。いつも、ふみちゃんの後を追っていた僕は、他の男子達からバカにされた。

「男のくせいに女に負けていやがるの」
「女の言いなりになっている弱い奴」
「悔しかったらフミを泣かしてやれ」

今にして思えば笑って聞き流せる悪口ではあるが、ふみちゃんの後ろを着いていくのが当たり前だと思って過ごしてきた僕にとっては、他の男子達の言葉が強い衝撃に感じられた。

このままでは、男としての沽券にかかわる。幼い頃の過ちと言うのか、そう思い込んでしまった僕は、ふみちゃんに対して「もう、ふみちゃんと一緒に遊ばない」と宣言した。

「ふみちゃんと一緒に遊ばない」

僕の一言はふみちゃんにも強いショックを与えてしまったようで、悲しみとか、悔しさとか、喪失感とか、そう言った負の感情を表情に表したふみちゃんは、泣きながら僕の前から立ち去った。

この時の僕は、生まれて初めて見たふみちゃんの泣き顔に申し訳のなさやバツの悪さを感じたかと言えばそうでもなく、むしろ、これで一人前の男として他の男子達と肩を並べられるという気持ちの方が勝っていた。


当然ながら、その事は僕の母親の耳にも届いたわけで、「いつも良くしてくれるふみちゃんになんて言う事を言ったの」と散々怒られた。

しかし、あの時の僕は、どうして母親が僕を叱ったのか、その意味を理解する事が出来なかったのである。

一方、僕の父親と言えば、同じ男として多少なりと僕の気持ちをくみ取ってくれたのか、「ふみちゃんには必ず謝るんだぞ」としか言わなかった。

絶交宣言からしばらくの間、僕とふみちゃんとは単に同じクラスの同級生と言う間柄に終始していたが、引っ付き合う磁石のように、いつの間にか二人の間は自然とよりを戻した。

今もふみちゃんから当時の話をされると、とても気まずい思いに駆られる僕。結果として、彼女に弱みの一つを握られる事になった。 絶交宣言からよりを戻した僕とふみちゃん。この頃になると他の男子達は僕の事をバカにしなくなった代わりに「将来、ふみの尻に敷かれるダメ亭主になるぞ」と冷やかされるようになった。

いずれはお互い離れ離れになって、それぞれ別々のパートナーを持つ事になるであろう。

当時の僕はそう思っていたので、男子達の冷やかしを聞き流していたが、中学生になっても、高校になっても、大学生になっても、そして、社会人になった今でも、僕は昔のように、ふみちゃんの背中を追う日々を過ごしているのだ。



■ その2 古いしきたり ■

そんなふみちゃんに文字通り災厄が降りかかったのが、僕達が高校1年生の冬の事。

僕達が高校1年生の冬、この年の干支は猪年。猪年の翌年は干支が一回りして子年になる。この子年を迎える大晦日の夜、僕の町では12年に一回のお祭り、厄払いの儀式が執り行われるのだ。

12年前の厄払いが行われた時は、まだ、僕たちは幼かったのでお祭り自体は見た事はなかった。しかし、お祭りの話を聞くと、厄払いの対象となる厄娘はとても過酷な試練に立ち向かわないとか。

厄娘に選ばれるのは成人前の処女で、かつ、初潮を迎えてある程度体力のある女の子と決められている。

それは、厄娘は過酷な試練に耐えるだけの体力や気力を必要とする為に、まだ、小さな女の子では厄娘の大役を務めあげる事が出来ないと言う理由と、この儀式には厄払いと同時に多産や豊作を願う祈りも込められているので、出産に耐えられるだけの体力と精神力を持ち始める年齢の子が選ばれる事になる。

そのため、厄娘に選ばれるのは高校生から大学生にかけての女の子と言う事になるのだ。そして、この年の厄娘として白羽の矢が立ったのが、ふみちゃんだった。


ふみちゃんは中学生のころから女子バレー部のエースとして活躍していた。その実績がどの様な困難でも耐えられると大人たちに判断されたようだ。

ふみちゃんが厄娘に選ばれた事を父親から聞いた僕は、居ても立っても居られなかった。身近な女の子が悲惨な目に遭うのだ。いくら、古くから伝わる大切なお祭りとはいえ、それを素直に受け入れる事が僕にはできなかった。

ふみちゃんが厄娘に選ばれた翌日、僕はどんな顔をして彼女に話しかければいいのか判らず、思いあぐねて学校に向かっていると、パンと僕の背中を叩きながら「お~い、ともあきクン、何暗い顔をしているんだい」と、いつもと変わらぬ良く通る声でふみちゃんが声を掛けてきた。

いつもと変わらぬ少し勝ち誇った様な笑顔を僕に向けてくれるふみちゃん。それに比べて僕の心は重い。これでは、立場が逆である。 「ともあきクン、もしかして、私の事を心配してくれてるのかな??」

腰を曲げて覗き込む様に僕の顔を見るふみちゃん。

「厄娘、ふみちゃんがやるんだろ? 心配して当然だろ」

「ともあきクンがそこまで想ってくれているんだ。私、嬉しいな」

そういうと、ふみちゃんは目を細めて本当に嬉しそうな表情を浮かべた。


「不安じゃないの? 話に聞くと、かなり過酷な試練を受けるんだよ?」

「そりゃ、不安じゃないと言えば嘘になるけど、でも、選ばれた以上は皆の幸せの為に私が耐えて見せなきゃ」

ふみちゃんはそう僕に話と、曲げていた腰を伸ばして思いっきり背伸びをした。

「ともあきクンが心配しないといけないのは、私の事よりも体育の補習の事でしょう。本当に、昔から運動が苦手なんだから。ほら、体育の補習に備えて学校までダッシュだよ」

ふみちゃんはそう言うと僕の腕を握って駆け出した。腕を握られた僕は、ふみちゃんに引っ張られる様に走り出した。



■ その3 禊 ■

一年365日、いつも顔を合わせている僕とふみちゃん。そんなふみちゃんの顔を見なくなったのは年の瀬が迫る12月29日の事であった。

29日から31日までの三日間、ふみちゃんは神社の社務所の中にある一室に籠って禊を行う事になっていた。

禊の間、どのような事を行うのか、僕は暗いままのふみちゃんの部屋を眺めながらそんな事を考えていた。これは、後にふみちゃんから直接聞いた話だが、禊の間、僅かな明かりが灯る小さな部屋の中で一人だけで過ごしていたそうだ。

禊の間、厄娘は何も身に着けていない素肌の上に白い一重一枚だけの格好で過ごすのだ。真冬の部屋の中を温めるのは火鉢だけ。エアコンもなければストーブもない。

火鉢から発せられる僅かな温もりを頼りに、薄暗い部屋の中でたった一枚の純白の薄衣だけで過ごす。禊の間は必要以上に声を出してもいけないし、寝るとき以外はずっと黙したまま座り通す。

孤独の中に身を置くのは、普段から明るくて、賑やかなふみちゃん。「肌寒くて薄暗い部屋の中で一人で過ごすのはとっては苦痛だった」と彼女は話してくれた。


まるで、独房に押し込められた容疑者のような生活を送るふみちゃんではあるが、数度、禊部屋から外に出られる時があった。それは、トイレの時と食事の時。そして、禊払いの時である。

禊払いも苦行の一つ。禊払いは日の出とともに行われる。冬至が過ぎたとはいえ、まだ、顔を出すのが遅い太陽。

禊払いの時は、遅い日の出の光を全身に浴びながら、神社の奥にある泉の中に身を沈めていたとか。しかも、禊払いを受ける時は、禊部屋の中で唯一の着衣である純白の衣を脱いで行っていた。

部屋の中で全裸になると、宮司さんと一緒に泉へ向かうのだが、宮司さんは男性である。ふみちゃんは宮司さんに裸を見られながら禊払いを行っていたのだ。

「一番初めの禊払いの時、裸になるのが嫌で、なかなか着物を脱げなかったよ。でも、脱がないと『早くしないとお天道様が昇ってしまう。早く脱がないか』と宮司さんに怒られるし。私、目を瞑って『エイ』と自分に気合を入れて着物を脱いだんだからね」

ふみちゃんは照れながら僕に話してくれた。

男の人の前で胸や股間をされけだし、凍てつく寒さの中を裸足で泉に向かうふみちゃん。寒いし恥ずかしいに決まっている。でも、彼女は恥ずかしさや寒さに耐えながら頑張ったそうだ。


泉の前に辿り着くと、ふみちゃんは冷たい泉の中に足を沈めた。両足を泉の中に入れると、泉の水面はふみちゃんの胸を隠す位置にあった。

胸元まで冷たい泉の中に沈めると、今度は腰を曲げて肩まで水に浸かった。

「これが温かいお風呂だったら最高だったけど、もう、水が冷たくて冷たくて、思わず悲鳴を上げそうになったよ。でも、『禊の間は無駄に言葉を発してはいけない』と耳にタコが出来るぐらい聞かされていたから、私、喉まで出かかった悲鳴をグッと飲み込んで耐えていたんだからね」

肩が浸かるぐらい薄い氷の張った泉の中に身体を沈めると、ふみちゃんは5分近く続く祝詞が終わるまで、肌を切り裂く様な泉の中に身を置き続けた。

泉の冷たさに悲鳴を上げたくてもグッと堪え、ガタガタと震えるからだを無理やり止めて、苦痛にゆがんでもおかしくない顔には、必死になって笑顔を取り繕っていたとか。

「これが、私の出来る精一杯の頑張りだったかな。なんだか、辛い顔をしたら負けじゃん。辛い時だからこそファイトを見せなきゃ」

辛い時だからこそ、ファイトを見せる。これは、当時、ふみちゃんが所属していた女子バレー部のモットーだ。ふみちゃんは女子バレー部魂全開で禊払いに挑んでいたのだ。

そんなふみちゃんの根性を察した宮司さんは、凍てつく寒さの中、冷たい泉の中でジッと耐え忍ぶふみちゃんに力を与える様に、祝詞を唱え続けていたとか。


12月31日、厄払い神事当日の夕方、ふみちゃんは薄い衣を脱いで部屋を出た。全裸になったふみちゃんは、別の部屋に通された。

ふみちゃんが通された部屋にはお湯の入った手桶と剃刀が置かれていた。厄払いの儀式を前に、ふみちゃんは体毛と言う体毛を剃り落とす事になる。

「覚悟はいいかな?」

宮司さんの言葉に力強く頷くふみちゃんではあったが、心の中では涙を流していたそうだ。やはり、女の子として身体中の体毛を剃り落とす事に抵抗感を抱いているようである。

しかし、いくら嫌でももう後戻りはできない。宮司さんは剃刀を手にすると、ジョリジョリとふみちゃんの頭髪を剃り落とし始めた。

肩よりも少し長めの髪が剃り落されて、ツルツルの坊主頭にされた。これで当分の間、ふみちゃんのポニーテール姿を見ることが出来なくなった。

ふだんは肩よりも少し長めにのばしたままにしていたが、体育の時や部活の時は、その後ろ髪を頭の高い位置で縛っていた。ポニーテールで激しい運動に挑んでいたふみちゃんは、男子だけではなく、女子にも魅力的に映っていたようだ。

でも、どれだけ周りの連中がふみちゃんに魅入っていても、彼女が見ているのは常に僕ひとり。その優越感は堪らないものがあった。


頭髪を剃られたふみちゃんは、今度は眉毛を剃られた。手桶に張ったお湯には、髪と眉毛を剃り落とされた自分の姿を見たふみちゃんは、心の中だけではなく、本当に泣けてきたそうだ。

男なのか女なのか、髪も眉もないツルツル人間。

(もしかして、今の私は人間じゃなくて変なお化けにされちゃったのかもしれない)

髪や眉を剃り落された事よりも、手桶の水面に写った自分の姿がヘンテコな姿に変えられて、妖怪になってしまったのではないかと思えて泣けてきたそうだ。

髪と眉を剃られてまるで別人のような姿に変えられたふみちゃんだったが、これで終わりではない。

最後に残っている毛があった。下腹部に茂る陰毛である。

「剃りやすい様に股を広げなさい」

宮司さんの言葉に頬を赤らめるふみちゃん。年頃の娘が親にすら見せた事のない裸をさらけ出している上に、今度は股を開かなくてはいけないのだ。

せめて、好きな男の子だけにしか開きたくない股を他人である宮司さんの目の前で広げなくてはいけない。


股を開く覚悟が出来ず、躊躇していたそうだが、「そんな事で立派な厄娘が務まると思うのか。これから股を広げる以上に辛い目に遭うんだ。そんな生半可な気持ちでやるのなら、今すぐ家に帰れ!!」と宮司さんに喝を入れられ、股を開く覚悟を決めたとか。

両太ももを左右に広げ、割れ目の開いた陰裂を大っぴらに見せると、宮司さんは剃刀の刃をふみちゃんの股に当てがった。

ジョリ、ジョリと剃り落されていくアンダーヘア。ふみちゃんはアソコの毛と一緒にクリちゃんも切られるんじゃないかと思ってヒヤヒヤしていたそうだ。

こうしてすべての準備を整えたふみちゃんは、宮司さんに手を引かれながら境内へと向かった。



■ その4 厄娘 ■

大晦日の深夜、細くてよくしなる竹鞭を手にした僕達の前に現れたふみちゃんの姿に僕は驚いた。

三日ぶりに見たふみちゃんは、三日前とは全く違う姿をしていたからだ。しかも、心なしか、やつれた様にも見える。

髪や眉、陰毛までが剃り落されて、少しやつれたふみちゃん。その姿はふみちゃんの姿に似せた別の生き物のように思えた。

大勢の人達の前で毛と言う毛を剃られた全裸姿をさらけ出すふみちゃんは、緊張と恥ずかしさ、それに、切り裂く様な冷たい風に必死になって耐えている様子が見て取れた。

宮司さんによって拝殿の前立たされると、ふみちゃんは両手を背中に回してさらけ出した胸を突き出した。宮司さんは突き出されたふみちゃんの胸に刷毛で何かドロリとした粘性の高い液体の様なものを拭い付けた。

胸全体に液体を拭い付けられると、今度は背中を反らせてお腹を突き出した。宮司さんは胸と同じように突き出されたお腹、特におへそ回りを重点的に液体を塗っていた。


胸、お腹の次は下腹部の番である。最後にツルツルに剃られた女性器を見せつけるかのように腰を突き出した。本来なら生えているはずの場所に刷毛の先をあてがうと、太ももの付け根に走るデリケートゾーンに液体を塗りたぐっていた。

胸、お腹、それに股間と、それぞれの場所に液体を塗られたふみちゃん。そんな彼女に変化が訪れるのに、そう時間は必要としなかった。

ふみちゃんはモゾモゾと身体をよじり始めたのだ。よじると言うよりも悶えると言った方がいいのかもしれない。後ろ手にしたまま、太もも同士を擦り合せ、クネクネと腰を回し、激しく胸を上下に揺らした。

喉を反らして開いた口からは「あぁぁぁ……」としわがれた声を発していた。この時、ふみちゃんの身体に塗られたのは、皮膚を刺激して猛烈な痒みを引き起こす薬を塗られていたのだ。

刷毛で塗られた皮膚は蕁麻疹を起こしたように赤く腫れだした。身体を掻きむしりたい気持ちを抑え、両手を背中に回したまま身体をよじらせて痒みに耐えるふみちゃん。その姿は男を誘っているような艶めかしくもあった。

喉を震わせ、痒みに耐える全裸のふみちゃん。その隣で宮司さんは説明を始めた。


「手にしている竹鞭で、厄娘の身体を打ち据えてください。母乳の出る乳房に鞭を打ち据えれば、子供の健やかな健康を、お腹に鞭を打ち据えれば子孫の繁栄を、股間に鞭を打ち据えれば、子宝と豊作に恵まれます。

今年の厄娘であるふみさんは、女子バレー部の練習で十分身体を鍛えています。厄娘としての試練を十分乗り切るだけの体力と精神力を養えていますので、手加減なく、鞭を打ち据えてください。

幸い、彼女の身体には強い掻痒感を催す薬を塗ってあります。見ての通り、ふみさんは鞭の痛みを求めています。心置きなく、鞭を振るってあげてください」

淡々と説明をしている宮司さんの隣りでは、狂ったように身悶えをしているふみちゃんの姿が。そんなふみちゃんの姿と宮司さんの説明で、境内のボルテージは高まりを見せた。

神社から離れた場所にあるお寺さんの除夜の鐘が遠くに聞こえると、最初の一人がふみちゃんの前に立った。

そして、一番初めのひと振りがふみちゃんの股間を捉えた。バチンという鞭を打ち据えるおと共に「ぐぉおおおお」と低く籠った悲鳴が境内に鳴り響いた。

普段聞くふみちゃんの声とは全く声質の異なる声。体毛を剃り落された後、ふみちゃんは一時的に喉を潰す薬を飲まされていたのだ。

基本的に必要以上に声を上げてはいけない厄娘。いくら声を上げてはいけないとは言え、鞭の痛みで悲鳴を上げてしまう。そこで、少しでも声の音量を落とすために、あらかじめ喉を潰す薬を飲まされていたのだ。


ひとり、また一人と、ふみちゃんの身体に鞭が振るわれる。鞭が振るわれるたびに、胸が、お腹が、そして、股間が無残な傷痕を残す。

蕁麻疹の様な腫れに鞭によって刻み込まれた蚯蚓腫れが走り、見るに無残な姿に変えられていくふみちゃん。境内には鞭の音とふみちゃんの悲鳴、それに興奮した参拝者の歓声が混ざる。

この日、ふみちゃんが受ける鞭の数は108本。いわゆる煩悩の数である。神社でありながら、そのあたりが仏教的なのが面白い。

僕の順番は終わりに近い97番目。順番を待つ時の僕は、幼馴染の女の子に鞭を振るうと言う背徳感と、気心の知れた女の子の身体に鞭を振るえると言う昂揚感の中にあった。



■ 最終話 ■

部屋の中では全裸のまま、唸り声を上げているふみちゃんの姿があった。

ふみちゃんの肌という肌には赤紫色に変色した蚯蚓腫れの傷痕が走っていて、日ごろ、バレー部で活躍しているふみちゃんの健康的な身体はそこには無かった。

痛みの為か、大晦日の夜以来、ずっと高熱を出し続けているふみちゃん。そんなふみちゃんが心配で、ずっと、そばに寄り添っている僕。

この年のお正月は、僕にとってもふみちゃんにとっても忘れることの出来ない正月になった。

それから何年も経ち、大人になって初めて肌を合わせた時、あの大晦日の夜以来、久しぶりに見たふみちゃんの全裸。

そこにはあの時に受けた傷痕が癒される事なく僅かに残っていた。多分、一生消える事のない傷跡であろう。ふみちゃんは僕の手を取ると、そっと胸元に僕の手のひらをあてがった。

そして、スッと、一際目立つ傷痕に僕の指先を這わせると、彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべて僕にこう言った。

「オッパイ星人」と。


そう、彼女の胸に残る一際目立つ傷痕は、あの日、僕が力任せに振るった鞭の痕だ。一応、僕の名誉のために言っておくが、後にも先にもふみちゃんに手を挙げたのは、あの時が最初で最後である。

いくら、古いしきたりとは言え、また一つ、彼女に僕の弱みを握られた事になった。

「もう、早くエッチをしようよ」

そう彼女が言うと、僕はベッドの上に押し倒された。そして、傷痕の残るふみちゃんのヴァギナがギンギンに勃起した僕のアソコを噛みついた。

ふみちゃん僕の両手を握りしめながら僕の腰の上で激しく身体を上下に揺すりながら僕にこう言った。

「厄娘の経験者との間に生まれた子供は、一生涯お金や食べ物に不自由しないんだって。だから、これからも頑張ってね、ともあきクン」

どうやら、周りの男子たちから冷やかされた通り、僕は、一生涯、ふみちゃんの尻に敷かれる運命からは逃れないようだ。


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