投稿作品集 > 新・幼なじみは応援団員 p.01

このストーリーは、bbs にて、DD 氏より投稿していただいた作品です。 この作品の著作権は DD 氏にあります。



「史奈はもう部活決めたのか?」

入学式から二日後、桜舞い散る歩道を歩きながら、僕は幼なじみの宮橋史奈に尋ねた。

「うん、もう決めたよ」

元気いっぱいの笑顔で答える史奈。ほんと、こいつは子供の頃から変わってねぇな。

「へえ、早いな。で、何部に入ることにしたんだ?」

「応援団!」

「えっ? マジで?」

僕は予想もしなかった答えに驚きを隠せなかった。

「うん!」

「しかしまたなんで応援団なんて……」

「だって、智美センパイ、かっこいいんだもん」


「誰だ、それ?」

「応援団で唯一女子の2年生。オリエンテーションの時、一目ぼれしちゃった……」

「おまえ、まさか……」

「違うよ、健ちゃん。そういうんじゃないって。先輩、凛々しくてかっこいいんだよ」

確かにオリエンテーションの時、ひとりだけ女子団員がいたなぁ。髪をポニーテールにまとめ、ハチマキをした顔が凛々しかったのは覚えてる。

「でも、おまえ、大丈夫なの? 応援団ってめっちゃキツそうじゃん」

「大丈夫だって! 智美センパイがいるし、私、元気さなら自信あるもん」

「ハハ、そうだな」

とまぁ、その場はそれで終わったのだが……。


数日後、友人の安部にその話をすると、めっちゃ驚かれた。

「お前、うちの応援団の噂、聞いたことないの?」

「なにそれ?」

「女子でもふんどし着用。少しでも気を抜くと、竹刀でケツしばかれるらしいぜ」

「えっ!?」

僕は史奈がふんどし一枚の格好で尻をぶたれている姿を想像し、青くなった。そんな目に遭ってるなんて、僕には耐えられない。僕にはあいつを守る義務があるんだ。

その夜、僕はあいつの家を訪ね、問いただした。

「おまえ、応援団で辛い目に遭ってるんじゃねぇか?」

「えっ、べ、別に平気だよ」

いつも通りの笑顔。だけど、10年以上いっしょに過ごしてきた僕の目はごまかせない。彼女の表情に一瞬影が差したのを見逃さなかった。


だが、これ以上、追求しても真実は聞き出せないだろう。こいつは僕を心配させないため、絶対に口を割らないに違いない。

そう思った僕は、翌日、こっそり応援団の練習を覗きに行った。すると、ちょうどジャージ姿の1年生15人が整列して、学ラン姿の先輩から説教を受けているところだった。

「お前たち、一度言われたことはきちんと守れ! それができないようなヤツは援団にいる資格はないぞ!」

よく見ると、説教しているのはあの智美とかいう2年生だ。先輩の手には竹刀が握られている。その後ろには3年生らしき男子団員がふんぞり返っていた。

「全員、地面に手をついてケツを上げろ!」

「押忍!」

全員が声を合わせて返事をすると、言われた通りの姿勢を取る。当然、その中には史奈もいた。

女子は史奈の他に三人。一人は男子に並ぶほど長身でスラッとした子。もう一人は僕と同じクラスの桑原恵美だった。桑原はショートカットの似合う活発な子で、性格は男勝り。まさに応援団にうってつけだ。他の二人の女子に比べると、史奈はどこか頼りなく見えた。


準備が整うと、智美先輩は高く掲げられた1年生の尻を竹刀で一発ずつ、バシバシと叩き始めた。かなりの強さで、少し離れた僕のところにもその音がハッキリと聞こえてくる。

女子三人にも同等の強さで竹刀が振り下ろされる。智美先輩は顔に似合わず、おっかない性格のようだ。

体罰が終わると1年生たちは立ち上がり、再び気をつけの姿勢を取った。まるで軍隊だ。それでおしまいかと思っていたら、後ろで踏ん反り返っていた3年生が智美先輩に近づき、頬をバチンとひっぱたいた。

「押忍!」

叩かれて一瞬よろめいたものの、先輩はすぐに体勢を立て直し、声を張り上げた。

「真田ァ、菱川が他の者より準備に時間がかかったのになんで注意しなかった!?!」

「押忍!」

「スボン、下ろせぇ!」

「押忍!」


すぐさま、ベルトをはずし、スボンを下ろす智美先輩。なんとその下は白いふんどしを締めていて、すべすべのおしりが丸見えだった。

「壁に手ェつけ!」

「押忍!」

智美先輩は言われた通りにした。叩きやすいように突き出した尻に竹刀が飛ぶ。しかも、一発じゃない。10連発だ。1年生たちは顔を強張らせながらそれを見ていた。史奈などは今にも泣き出しそうな顔をしている。

「押忍! ありがとうございます!」

先輩は一礼するが、すぐにはズボンを穿かなかった。白い尻には竹刀の痕がくっきり浮かび上がっている。

「菱川ァ、前に出ろォ!」

3年生は長身の1年生女子に向かって怒鳴る。


「押忍!」

「準備に時間がかかった罰として追加で10発。ジャージを下ろしてケツを上げろ!」

「押忍!」

菱川さんがジャージを下ろす。ジャージの下にはショートパンツを穿いておらず、テカテカの白い下着がピッタリと尻に貼り付いている。先ほどと同じように地面に手をついて菱川さんはおしりを上げた。

バシッ! バシッ! バシッ! ……

3年生が下着の尻を竹刀で打ち始める。


僕がその光景に驚きつつも食い入るように見ていると、いきなり背後から誰かに声をかけられた。

「どうかしましたか?」

振り返ると、そこには頭を刈り上げたおっかない顔がこっちを睨んでいた。学ランを着ているからおそらく応援団だ。

「あ、いや。別に……」

僕はその場から一目散に逃げ出した。しかし、これでハッキリした。部活で史奈がひどいしごきを受けているのは間違いないようだ。しかも、フンドシの噂も本当らしい。

史奈のためにもこんなひどい慣習は改めなければ……。でも、どうすれば?

そう思って顔を上げると壁に貼られた「新聞部」のポスターが目に入った。


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