投稿作品集 > ブルマー p.02

このストーリーは、bbs にて、のりぞう 氏より投稿していただいた作品です。 この作品の著作権は のりぞう 氏にあります。



■ その4 ■

茅野純ちゃんはショートカットを通り越したスポーツ刈り。

顔も体操シャツから伸びる腕も短パンから伸びる脚も真っ黒に日焼けしていて誰がどう見ても男の子。

スポーツ刈りで真っ黒に日焼けしている純ちゃんだが、シャープな顔の輪郭に切れ長の目をしている彼女は着飾ってオシャレをすれば美少女に変身することは請け合いである。

でも、異性である男子からは男の子っぽい容姿をしている純ちゃんが美少女になる素地があるなんて露程も知らないであろう。

男子からは恋愛の対象外に違いない。

大人になって着飾った純ちゃんと再会したとき、見違えた彼女の姿に驚いたり中学時代に見向きもしなかった事を悔やむ男子達の姿が思い浮かぶ。

「あ、そうだ」

純ちゃんはそう一言いうと、好き勝手に純ちゃんの未来を妄想している私の手を取って短パンに包まれた股間を触れさせた。

短パンの上から触れる純ちゃんの股間はつるりとした触感だった。

唐突な純ちゃんの行動に驚く私。

「こうするのが、女子陸水部部員同士のあいさつ代わりなんだ」

唐突な彼女の動きに戸惑っている私を純ちゃんはいたずらっぽい笑みを浮かべながら見つめていた。

○○中学校女子陸水部とは、中学校時代、純ちゃんが所属していた部活の名前だ。陸水部というのは陸上部と水泳部が一緒になった部活である。

冬の間、水泳部の子が陸上部と一緒に筋トレを行ったり、夏の間、陸上部の子が水泳部と一緒に泳いで特訓を行っていたりしていた関係で陸上部と水泳部が同じ部活として活動している。

というのは表向きの理由であり、純ちゃんも田舎の中学校出身なので、単に部員が少なくて走ったり泳いだりするのが得意な子たちが陸上部と水泳部の両方を掛け持ちで活動しているのが陸水部というわけだ。

そんな裏事情はともかくとして、部員の少ない田舎の部活でありながらその練習は厳しくて、その厳しさを見た目で表しているのが純ちゃんの髪形である。

女子もスポーツ刈り。日焼け予防なんてもってのほか。これは女子陸水部の結成以来の鉄則だ。

女子でも髪形をスポーツ刈りにしたり真っ黒になるまで日焼けさせたりすることで異性を寄り付かせなくさせて部活に集中させる目的がある。

まだ、未発達な身体をした陸水部の少女たちは部活の規則と受け入れつつも、思春期を迎えた彼女たちは女性としてアイデンティティを確立させたいと思い始める時期でもある。

それは、男子のような容姿を強要された女子陸水部員たちなら尚更である。

その思いを叶える目的で彼女たちが編み出した挨拶方法がお互いの股間に触れるというものだった。

胸であれば膨らみの大きい子もいれば小さい子もいる。純ちゃんの胸元を見ても分かるように、陸水部の少女たちは総じて胸が控えめな子が多い。

バストサイズが控えめな子が多い陸水部では、胸を触るよりも股間のワレメを触れ合うことにより女子としての自己性や女子部員同士の同一性を認識しあっているのだ。

純ちゃんの話を聞いた私は、私とは異なるスポーツに青春を捧げた少女たちの知られざる物語の一篇を垣間見た思いがした。

純ちゃんの話を聞き終えると私は純ちゃんの手を取って、ジャージのズボンに包まれた私の股間に導いた。

なぜ、私がそんな行為に及んだのか良く分からなかった。でも、そうしないといけないような気持に駆り立てられていたのは確かだった。

ジャージの上を優しく撫でる純ちゃんの指先を感じると、股間を撫でる純ちゃんがとても愛おしく思えてきた。

ついさっき会ったばかりの純ちゃんに対してそう思えるのだ。それが毎日厳しい練習に耐え抜いている仲間同士であればどうであろう?

他人に触れられるのが恥ずかしいはずの股間を撫であう度に部員同士の友情や結びつきを深め合う。股間を触れ合う挨拶にはそんな意味もあるのではないか?

ジャージの上からワレメを優しく撫でる純ちゃんの指先の動きを味をわいながら陸水部流の挨拶に秘める意味に切なさを感じたのだった。


■ その5 ■

人気のない廊下でお互いの股間をまさぐり合う私と純ちゃん。

扉一枚向こうには、この春から机を並べることになるクラスメイト達が居るのに、扉一枚隔てた廊下では陸水部の挨拶だと格好つけて女の子同士がお互いの股間をまさぐり合っている。

もし、この姿を見られたらどうしよう……。

ここは学校の廊下。

扉が閉まっているからとはいえ、いつ開けられるかわからない。不道徳な行為をほかの人たちに見られてしまうリスク。アブナイ遊びは劣情感をお催してしまう。

「そろそろ教室に入ろうか」

純ちゃんは股間を這わしていた手を止めて、軽い興奮状態にある私に教室へ入るように促した。

(え、もう終わりなの? もう少し純ちゃんとこうして居たいな……)

私はもう少し陸水部流の甘酸っぱい挨拶が終わってしまうのを名残惜しみながらも、純ちゃんに促されるまま教室の扉を開いた。

扉を開くと教室の机はほぼ埋まっていた。すでに友達を作ってお話をしている子もいれば、誰ともしゃべらず時間が来るのを待っている子もいる。

もし、純ちゃんに声を掛けられなかったら私も黙って一人だけの時間を過ごしていた事であろう。

私が教室に入ると、そのあとを追うように純ちゃんも教室に入った。私の後に純ちゃんが教室に入ると一瞬だけ純ちゃんに視線が集まった。

スポーツ刈りと小麦色に焼けた肌をした女の子が居ればみんなの視線を集めてもおかしくはない。

私もそうだが、運動部で髪を短く切る子は大勢いる。私のように横髪が耳にかからない程度の長さで切り揃えるか、それよりも短くカットしたとしてもせいぜいベリーショート止まりが普通である。

しかし、純ちゃんはベリーショートよりもさらに短いスポーツ刈りだ。純ちゃんは自分に向けられる興味本位の視線には慣れているようで、特に気にする素振りも見せずに空いている席に向かった。

私と純ちゃんは教室の一番奥にある廊下側の席に隣同士で座った。奥の席の方が落ち着くというのもあるが、前の席も空いていたのが決め手だった。

私たちが席に着いてお喋りをしていると、体格のいい女の子が教室に入ってきた。

その子は教室に入ると周りを見渡した。その子の視線と私の視線が合うと、彼女は真っすぐ私たちの座っている席に向かって歩いてきた。

席はほぼ埋まっている状態とは言えまだいくらか空席はいくらかあるに、その子は何の躊躇いもなく私たちの座っている席に向かって歩いてくる。

彼女が前の空席のところまで来ると、椅子の座面を私たちの方に向けて腰を下ろした。

私たちに顔を向けた彼女は囁くように「キミたち、さっき教室の前でヘンな事をしていたでしょう」と、秘密の挨拶を暴露した。

(誰も見ていないと思っていたのに、見られていたんだ……)

私は恥ずかしさと気まずさで顔がジンジンと熱くなってきた。

「壁に耳あり障子に目ありと言うからね。誰もいないと思っていたのは私たちの勝手な思い過ごしだよ。悪いことはできないものだね」

秘密の暴露にバツが悪くなり顔を真っ赤にしていた私とは違い、純ちゃんは顔色一つ変えずに自嘲気味に呟いた。

人に見られる事を想定していたのか? それとも、人に見られるのが慣れているのか?

まったく、動揺している様子は見られなかったどころか、彼女の口元には私に向けたあのいたずらっぽい笑みを浮かべていた。


■ その6 ■

私と純ちゃんに話しかけてきた体格のいい女の子は内田つかさちゃんと言って、相撲クラブに入っている女の子だ。

相撲クラブと言うのは、純ちゃんが通っていた中学校にあるクラブの一つだ。

「つかさちゃん、相撲部に入っているんだ」

「違う、違う。部活じゃなくてクラブだよ。クラブと部活は違うんだ」

私は部活の事をクラブと言っているものと思い込んでそう言うと、つかさちゃんは首を横に振って訂正した。

つかさちゃんが通っていた中学校にはクラブと部活の二つあるのだ。

同じようで異なるクラブと部活。つかさちゃんが言うには、学校の先生が顧問に就き、部員も生徒だけで構成されているのが部活と呼んでいる。

一方、クラブの方は、先生以外にも外部指導員が顧問に就くこともあり、クラブのメンバーも学校の生徒だけに限らず、学区内や学区外の周辺地域の小学生から高校生までの子供達が所属しているので、クラブは学校施設を利用した地域スポーツクラブといった感じである。

「どうして、部活とクラブのふたつあるの? 部活を無くしてクラブに統一すればいいと思うのに……」

つかさちゃんの説明に疑問に思うと、つかさちゃんは「団体競技と個人競技の違いかな」とクラブと部活の二つがある理由を教えてくれた。

サッカーではアンダー○○と学校の枠ではなく年齢でチームを構成する事もあるが、部活の大会となると一部例外を除いては学校単位の参加となる。

団体競技を年齢も学校もバラバラなクラブのカテゴリーに入れてしまうと大会に備えてのチーム編成や大会を見据えての練習メニューに支障をきたすこともある。

そこで団体競技は学校の課外活動としての部活として活動を行っているのだ。

その点、個人競技であれば選手個人が学校の代表として大会に参加するのでチーム編成や練習メニューに支障をきたすことは何一つない。

むしろ、いろんな年齢層の仲間を相手に練習が出来るため、練習の層に厚みが出来てメリットの方が大きいのだ。団体競技、個人競技の出場条件にあわせて部活とクラブの二つに分かれているのだ。

相撲クラブに入っていたるだけはあって、つかさちゃんは肉付きの良い身体をしている。

お相撲の選手と言うと、お肉がついて太っているイメージがあるかも知れないが、純ちゃんの場合はお肉がついていると言っても無駄なお肉はついてない。

それは、つかさちゃんの顔やお腹を見れば明らかだ。

普通に太っている子であれば頬や顎にお肉がついて丸々とした顔をしている。お腹だってポッコリと出ていて二段腹三段腹になって全体的にブヨブヨした身体をしているが、つかさちゃんは違う。

全体的に締まった体つきをしているし顔だって小顔だ。

体操シャツの袖から伸びる二の腕は筋肉質で力強く見えるし、ジャージの下にも鍛え抜かれた太ももが隠れている事は窮屈そうに穿いている穿き古したニットジャージのズボンの上からでも良く分かる。

お相撲は体と身体を激しくぶつけ合うスポーツだ。

小学校4年生の時、つかさちゃんが相撲クラブに入った。それ以来、中学校を卒業した今でも相撲クラブの選手として激しいぶつかり合いに耐えられるだけの身体を作り上げているのだ。


inserted by FC2 system