投稿作品集 > 彩音と恵輔 泥水マスゲーム p.03

このストーリーは、bbs にて、のりぞう 氏より投稿していただいた作品です。 この作品の著作権は のりぞう 氏にあります。



(4)

■ 恵輔編 ■

「ねぇ、若菜。男子達に見られてるよ……」

女子の一人が僕たちに聞こえる様に、わざと大きな声で朝倉さんに声を掛けた。

朝倉若菜さん。クラスの中で一番発育の良い女の子だ。背が高くて肉付きもよく、胸には大きく熟れた二つの乳房が実っていた。

身体を拭くことに一生懸命で、あまり周りを意識していなかったのか、若菜さんはハッとした顔を見せると、慌てた様子で胸と股を隠した。

内股になって腰をくねらせ、腕でから零れ落ちそうな胸を必死になって隠している若菜さんの姿は僕たち男子にとっては格好の見世物である。

そういう僕も若菜さんの裸に目をくぎ付けにしたひとりである。男子であれば、肉付きが良くて大人びた雰囲気のする若菜さんの肉体に心を奪われてもおかしくはないが、中にはそれを快く思わない子もいるのである……。


「男子たちはいつになったら裸になるんだ。女子は全員裸になったぞ。いい加減に根性を見せろ」

そんな女子の裸に目を奪われている僕たちに、先生は呆れ果てていた。女子とは違い、ここぞと言うところで煮え切れないのが男子である。僕たち男子は女子が裸になるところを眺めているのが精々で、本当にだらしがないと思う。

「もう、皆、根性なしの男子を裸にしちゃおうよ。先生、いいですよね」

一番初めに裸になった大野さんは、少し時間が経って裸になれたのか、胸も黒い茂りに覆われた下腹部も隠そうとはせず、先生にそう訊いた。

「俺が怒鳴るよりもそっちの方が男子達には効くかもしれんな。お前たちの好きにしろ」

大野さんは先生から僕たちを裸にする許可を得ると、嬉しそうな笑みを浮かべながら、

「皆、聞いた? 意気地なしの男子達を裸にしちゃおうよ」

と、女子達に呼びかけた。すると、今まで僕たちに裸を見たい放題見られていた女の子達は、大野さんの呼びかけに賛同を示すと、隠すところも隠さず、一斉に僕たちを襲い始めた。


「おい、やめろ」
「いい加減にしろよ」
「よせよ」

この年頃の女子達は男子に悪戯するのが好きなのか、女子達は照れたり恥ずかしがったりする様子も見せず、僕たち男子の短パンやシャツを脱がし始めた。

一人、またひとりと女子の手によって裸に剥かれていく男子達。短パンやブリーフを下されて、女子の裸にビンビンに反応しているオチンチンをさらけ出している男子を女子達は笑ってみていた。

男子の殆どが女子の手によって裸に剥かれていく中、まだ、僕は体操着を着たままである。

(どうして、僕だけ裸にされないのだろう?)

僕だけのけ者にされているのではないか? ふと、そんな不安が心の中をよぎった時、

「ケースケ」

と、低い声が聞こえてきた。僕は少し視線を落とすと、頬を膨らませて上目づかいで睨む小柄な女の子が立っていた……。



■ 彩音編 ■

水気によって肌にへばり付いて脱ぎにくくなった体操着と下着をやっとの思いで脱いだ私は、ビニール袋の中にそれらを仕舞ってもらったタオルで身体を拭きました。

身体を拭きながら私は思いました。他の子は丸みを帯びて大人っぽい身体つきになっているのに、私の身体はまだ子供のままです。もちろん、あそこの毛だって生えているし、オッパイだって小さいながらも膨らんでいます。

でも、皆に比べてみればまだまだ子供のままです。私は少し悲しい気持ちで身体を拭いていると、「ねぇ、ねぇ、彩音の大切な彼、若菜の身体にくぎ付けだよ」と、ケースケが若菜の裸に見とれている事を教えてくれたのです。

そりゃ、若菜に比べて私の身体はボリュームがありません。でも、でもですよ、だからと言って、若菜の裸に見とれるなって、少しショックです。私は若菜の裸に見とれているケースケの姿を見たら、何とも言えないモヤモヤとしたものが心の中を覆いました。


「男子を裸にしちゃえ」

そんなモヤモヤした気分でいる私の耳に大野さんの声が聞こえてくると、若菜の裸に浮気心を寄せいているケースケに仕返ししてやろうと言う思いが沸々とわき出してきました。

でも、でもですよ。実際にそれをやろうとすると、仕返しをする勇気が出ませんでした。仕返ししたいけど、ケースケに恥を掻かせたくないし……。

そんな思いを心の中に巡らしている私の背中を押してくれたのは、ケースケの浮気心を教えてくれた子でした。

「ここで一発ガツンとやらないと、後々苦労するよ」

その子は私にそういうと、私の背中を押してくれました。

(もう、こうなったら、私の子のモヤモヤした思いをぶつけてやる)

私は、ケースケの短パンを下ろそうと覚悟を決めたのでした。



(5)

■ 恵輔編 ■

「ケースケ」

小振りの胸と、生えかけた陰毛を隠しもせず、僕の前で仁王立ちになっている彩音ちゃん。頬を膨らませて上目づかいで睨む彼女の姿に、僕が若菜さんの裸に見とれていたことを怒っていると実感した。

どうやって言い訳をしよう……。僕は怒っている彩音ちゃんを前にアタフタしていると、彼女は突然僕の短パンの裾に手を掛けると、何も言わずに短パンを引きずり下ろした。

辛うじて下に穿いていたブリーフまでは脱がされなかったが、ブリーフのフロント部分はテントが張ってあった。

「ケースケ、自分で脱ぎなさい」

相も変わらず低い声で僕に命じる彩音ちゃん。

「あ、ハイ!!」


彩音ちゃんの命令に思わず上ずった声で返事をした僕。これ以上、彼女を怒らせたくはない。そう思った僕は、躊躇なくブリーフを下した。

この時、僕は、怒らせてはいけない子を怒らせてしまったと後悔しながら腰回りにへばり付いたブリーフをゆっくりと下すと、勃起したオチンチンが彩音ちゃんに向かって起立した。

「あ!!」

勃起した僕のオチンチンを目の当たりにして、彩音ちゃんは小さく声を上げたが、すぐに気を取り直して、

「今日も、私と一緒に帰る事。忘れないでしょ。ケースケ」

と、よく聞き取れない声で一言言い残して女子の輪に戻って行った。



■ 彩音編 ■

恥ずかしいとか、そういう問題は私の頭の中から消えていました。

とにかく、ケースケには私の事を見ていてほしい。その事だけで頭の中がいっぱいでした。だから、この時の私はその思いが強すぎて、少し怖い顔をしていたかもしれません。

私はモヤモヤした気持ちと私の事を見ていてほしいと言う思いを込めて、ケースケの前に立つと、何も言わずにかれの短パンをずり下しました。私に短パンを脱がされたケースケは、バツの悪そうな顔をしていました。

そして、私の「ブリーフを自分で脱ぎなさい」と言う指示に彼は素直に従ったのです。

パンパンに張っていたブリーフを下すと、私の目の前に彼のアソコが現れました。痛々しいまでに勃起していたケースケのオチンチン。私は男の子のソレを見た瞬間、一気に恥ずかしさが蘇りました。

私が彼のアソコを見ているように、彼もまた、私の秘部を見ているはずです。そう思うと、私はこれ以上何も言えず、ただ小さな声で一緒に帰る事を伝えてケースケの下から逃げてしまったのです。

いくら、気が昂っていたとはいえ、変なことしちゃったな。ケースケに嫌われたらどうしよう……。私はケースケが一人で帰ってしまうのではないかと、とても不安な気持ちでいっぱいになったのでした。



(最終話)

■ 彩音編 ■

何となく照れ臭い帰り道。

いつもならケースケの隣りか半歩前を歩いているはずの私は、なんだか一緒に歩くのが恥ずかしくて、彼よりも離れて歩いています。普段とは違う帰り道は、下着も着けずにジャージを着ている違和感と相まって、とても落ち着きません。

「一緒に帰ろう」と誘ったのは私なのに、本当に素直じゃありません。だから、私の後ろを歩く彼に「早い」だの「遅く歩け」だの我がままを言っちゃうのです。

雨上がりの曇り空。私の心の曇りは明日には晴れるのかな……。



■ 恵輔編 ■

雨上がりの曇り空。何とも言えないモヤモヤした空は、今の僕と彼女の心を表している様だ。

(こういう時はなんて声を掛けたらいいのかな)

素直になれない彼女に代って僕が何とかしないといけないはずなのに、なかなかそのきっかけが掴めない。でも、このまま家に帰ったとしても、明日の朝にはいつも通りの僕と彼女の関係が始まるはずです。

でも、それでは僕の気持ちも収まらないし、彼女だって気持ちの整理がつかないはずです。

ふと見上げる空。空を覆っていた雲の切れ目から日差しが差し込み、空覆う水蒸気に日差しが当たり、七色の光の橋を架けていた。

「彩音ちゃん」

僕は前を歩く彼女のもとに駆け寄ると、彼女の肩を叩いた。突然のことに驚く彼女。僕はそんな彼女に一言

「虹だよ」

僕と一緒に虹を見上げる彼女の顔に笑顔が戻る。僕は彼女の笑顔を見ながら思った。先生、いくら校舎が汚れるからと言って、年頃の男女を裸にするのは間違っているよと。


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