一人ぼっちの陸上部 > 外伝 柔らかい日々 p.02

■ 05 ■

(きもちぃー)

椅子のシートに裸のお尻をつけるのは変な感じです。でも、車内はクーラーで冷えていて、椅子もひんやりとしています。鞭で熱を持った私のお尻にはちょうど良い具合でした。

シートベルトをしてから、少し迷いつつも鉄アレイを手に取りました。

「おぉ。やる気だな。偉いぞ」

先生が褒めてくれます。私としては、やらないと叱られると思ったのでやっただけですが、褒めてもらえるのなら、それは素直に嬉しいです。

これも最近気が付いたのですが、先生はものすごく怖くて、恐ろしい人なのですが、たまに褒めてくれるときは、本当に優しくて、そのタイミングも絶妙で、私はついつい乗せられてしまうのです。

鉄アレイを持った両腕をまっすぐに前に伸ばし、パワーアンクルのついた両足を宙に浮かせます。

前を見ると、さっきまで穿いていた私のブルマとパンツ。汗で湿っているのが分かります。下を向くと、ワレメがばっちり見えます。

両手両足をふさがれ、シートベルトで体を固定され、体勢を崩したら鞭だと脅され。下半身は裸んぼで、恥ずかしい部分は丸見え。すぐ隣には男の人。

尋常じゃない状況ですが、それでも私が許せているのは、その男の人が先生だからなのかもしれません。


腕や太ももが怠くなるのは、練習ですから我慢するしかありません。これもトレーニングの一環です。恥ずかしいのは、車の揺れに対応しようと重心を移動させるときです。

床につけないように足を持ち上げたり、カーブでバランスを取るように足を左右に広げると、どうしてもお股がぱっくりと開いてしまうのです。

もちろんそれは、先ほどまでも同じでしたが、その時はブルマが守ってくれていました。ブルマもパンツも無き今、その部分は丸見えで、パクパクと呼吸しているようにワレメが開閉しています。

「あのぅ……。先生?」

「なんだ?」

「ちょっとお腹が冷えてきたみたいで……おトイレにも行きたく……」

「え? さっき行ったんじゃないのか?」

「あのぅ……。さっきは混んでいて……。実は出来なくて……」

「まったく。どこまでも世話の焼ける奴だな」

「あのぅ……。もう少し我慢できます。出来ますが、せめて……」

「そんな格好してるから腹が冷えるんだぞ」

(えぇぇぇ! 先生がさせてるんでしょう! こんな格好したくてしてるんじゃない!)

とは思うものの、そんなことは言えません。


「せめて……」

そう言ったところで、先生がクーラーの温度を下げています。さらに、私の方に風が直接当たるように風向きを調整しています。

(この人わざとやってる……)

思った通り、むき出しになっている私の下半身に冷たい風が襲いかかってきました。

「あのぅ……。先生?」

「なんだ?」

「いや。なんだじゃなくて……。そうだ。せめて、パンツとブルマを穿かせて下さいよ」

「あぁ?」

「いや。そうすれば、もう少し我慢できます」

「じゃあ、上半身裸だな。下半身に穿くのなら、上半身は脱ぐ」

「えぇ……」

「交換条件ってやつだ」


迷います。ワレメ丸見えは恥ずかしいです。お腹を冷やしたくない気持ちもあります。でも、上半身裸となれば、車の外からも丸見えです。下半身だけなら、もちろん恥ずかしいですが、それでも先生だけです。

「ごめんなさい」

先生に言いました。すると先生は、少し笑ったように息を吐きながら、クーラーを弱めて風向を調節してくれました。

「もう休憩はとれないから、トイレは我慢しなさい」

「はい」

(ってもう中学生なのに……。それに親みたいな言い方……)

高速を降りると、クネクネトした山道を走り、舗装されていない砂利道を走り……。わざと変な道を走っているのではないかと疑いたくなります。

私はそのたびに、足をついてしまいカウントを増やします。バレていないかと思って先生の方をチラリと見ると、先生も一瞬こちらを見ています。

嘘はつけません。


■ 06 ■

「カウントの清算は宿舎に入ってから行う。もうすぐ着くから、パンツをブルマを穿きなさい」

「はい」

私は鉄アレイを置いて、パンツに手を伸ばします。

「パワーアンクルはそのままで」

「……はい」

先生が先回りをするように指示を出してきます。見透かされているようで嫌です。

私は、パンツに伸ばした手をブルマの方向に変えました。そして、ブルマに足を通します。

「どうした?」

「気合いを入れるために、直穿きしたいと思います」

「ほう。それはそれは」


先生が宿舎と言っていたので、てっきり小学生の頃に行った自然体験学習の合宿所のような味気ない建物を想像していましたが、高級ホテルとまではいかないまでも、旅館よりも少し立派な外観でした。

よく分かりませんが、老舗旅館というのかもしれません。考えてみれば、私と先生の二人だけなので、いわゆる合宿所のようなところは借りられないのかも。

(あぁ~。これが部活の合宿なんかじゃなくて、家族旅行だったら最高なのに……)

「裾!」

建物を見上げていると、先生の声が聞こえました。狭い車内では体操服の裾をきちんと仕舞えていなかったのです。体操服の裾をブルマの中に仕舞い直しました。

ロビーに入っていく先生を追います。フロントでチェックインを済ませているようなので、すぐ後ろで待っていました。

「お元気そうな娘さんですねぇ」

フロントの仲居さんが話しかけてきました。ブルマ姿の女の子にはそう言うしかないのでしょう。

私が「いえ」と答えようとすると、先生が「あははは」と笑っています。

部屋に行く途中、「娘さんじゃありません」と先生に抗議すると、「まぁいいじゃないの」と軽くあしらわれてしまいました。


「あれ!? もしかして、部屋って一つですか?」

「いけないのか?」

「いや、だって、普通……男の先生と女子生徒ですよ。別々の部屋じゃないんですか?」

「いけないのか?」

「いけないのかって言われると……」

「襲われるのが心配か?」

「そういう訳では……」

「あのな。俺がお前のことを襲うんなら、なにもこんなところまで来る必要はない。

学校に二人だけのときだってあるし、部室で二人っきりのときだってあっただろう。それもお前が裸に近い格好で。さっきの車の中だってそうだ。あんなはしたない格好してたじゃないか」

(自分がさせといて、はしたないって……)

私は抗議の視線を送りますが、先生はすでにこちらを見ていません。結局私は従うしかないのです。

「分かりました……」


■ 07 ■

部屋の中は、畳の部屋とベッドが置いてある洋間があり、なかなかの広さです。突き当りには、小さめですがお風呂が付いていて、その奥は海が広がっています。

お風呂場と砂浜は繋がっていて、お風呂を通り抜けると直接海に出られる作りになっているようです。

「そこはプライベートビーチだからな。ほかの客は入ってこない」

「すごいじゃないですか!」

こんなところに家族で来れたら最高です。これが遊びだったらどんなに楽しい旅行か。思わず興奮してしまいましたが、すぐに現実に戻されました。

プライベートな海岸……私をしごく場所に決まっています。

「まずはさっきの清算するぞ」

先生は言いながらテーブルの上のお茶やお菓子を移動させています。私は、物の無くなったテーブルに両手を付きました。

部屋にあったテーブルは膝丈くらいの高さなので、そこに両手をつくと、自然とお尻を突き出すような格好になります。


「カウントは?」

「えっと……10回くらい……」

「くらい?」

「そのぉ……途中から山道で、揺れがすごくて、よく分からなくなって……」

「ったく!」

「…………」

「百叩きの刑だな」

そう言うと先生は、前屈みになった私の背中を押さえつけます。そして、すぐさま鞭が振り下ろされました。

パン、パン、パンとリズムよく叩かれます。百叩きの刑だとは聞こえたものの、本当に100回なのか分かりません。とにかく連続で何度も何度も鞭がお尻を襲います。

途中で思わずうめき声を出すと、先生はポケットから布を取り出し、私の口に詰め込みました。


「ぐぅぅぅ……うぶうぅぅぅ……」

(ってこれ私のパンツじゃん! なんで先生のポケットに入ってんの!?)

先生はパンツを咥えた私のお尻を容赦なく叩きます。そして、一旦止んだかと思うと、私のブルマに手がかかりました。躊躇なく、先生によってブルマが下ろされます。

ペシ、ペシ、ペシとまたリズムよく鞭の音が再開です。素肌に鞭が当たると、さっきとは違う音が聞こえます。

「よし。そのまま練習開始だ。ブルマ穿いて海岸に出ろ」

「はい!」

100回叩かれたのか、叩かれていないのかよく分かりませんが、鞭は終わりのようです。

私はすぐにブルマを穿いて、先生を追うように海岸に出ます。部屋の奥にお風呂があり、さらにそこを通り抜けると宿泊者専用のプライベートビーチになっているのです。

プライベートビーチは、隣の部屋との境界に衝立があり、砂浜上では完全に隔離されています。恥ずかしい姿を先生以外の人に見られる心配はないようです。


■ 08 ■

「まずは、挨拶から」

「陸上部1年、伊東渚! よろしくおねがいしますっ!」

「やり直し! 腹から声出せ」

「はい。陸上部1年、伊東渚! よろしくおねがいしますっ!!」

「もう一度! 恥ずかしがるな。学校と同じようにやれ」

二度目の注意と同時に、鞭が飛んできました。

「はい。すみません。陸上部1年、伊東渚! よろしくおねがいしますっ!!!」

「いいだろう。準備体操」

「はい」

いつものように、一人で声を出して、一人で体操をします。学校ではもう慣れっこだったとしても、場所が違うだけで虚しさが増します。


「くっし~ん! いち、に、さん、し! に、に、さん、し! ……」
「しんきゃ~く! いち、に、さん、し! に、に、さん、し! ……」
「ふか~く! いち、に、さん、し! に、に、さん、し! ……」

単なる準備運動ですが、それだけでも学校のグラウンドとの違いは明らかでした。

動くたびに、海岸の砂に足がめり込んでいくのです。いつもよりも動きを大きくしなくてはいけません。

上からは夏の強い日差し、下からは砂浜の熱、そして先生からのプレッシャーが相まって、私の息はすでに上がりつつありました。まるでサウナの中で運動をしているような感覚です。

「よーし。まずはその場駆け足。はじめっ」

「はいっ!」

思った通りです。ももを上げ下げして、砂浜を踏みしめるたびに、足を取られるような感覚です。足だけでなく、腹筋にも力を入れて、バランスをとりながらでないと、倒れてしまいそうです。

パワーアンクルが、文字通り足枷として私に負荷をかけてきます。

しかし、少しでも隙を見せれば、先生の鞭が飛んでくるのです。先生は、私の前に立ち、鞭を胸の少し下辺りで固定させています。この鞭の場所までももを上げろという合図です。

そして、その鞭にももが届かなければ、すぐに太ももに鞭が飛んでくるのです。


「続けて、スクワット!」

「はいっ!」

「続けて、その場駆け足!」

「はいっ!」

「もう一度、スクワット!」

徹底的な下半身強化メニューです。

足元の砂浜が削れていき、踏み固められ地面が固くなると、私は別の場所に移動させられます。足跡の無いきれいな砂浜は、今の私にとって、まったく嬉しくありません。

フワフワとした砂浜に足を取られるところからやり直しです。

先ほどの百叩きの刑で、私のお尻は真っ赤になっているはずですが、自分のお尻を自分で見ることは出来ません。しかし、太ももは違います。

先生の鞭が入るたびに、私の太ももには赤い痕が増えていくのです。

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