一人ぼっちの陸上部 > 季節は春
また鉄棒から落ちてしまいました。
「気合い入れおねがいします!」
「ブルマ!」
「ハイッ!」
私は、ブルマを下ろして、裸のお尻に鞭を受けます。ブルマを上げようとしたときでした。
「もう、いちいちブルマを穿くな! そのまま、足上げ腹筋!」
「え? あっ、ハイッ!」
練習中は、ハイ、以外の返事は禁止です。どんなに理不尽なことでも、ハイ、と返事をして従わなくてはいけません。
私はブルマをひざまで下げたまま鉄棒に向かいます。そして、冷たい鉄棒をつかみ、ぶら下がります。
その拍子にひざで止まっていたブルマは足首まで落ち、私は完全にお股を、お股のワレメを外でさらけ出す格好になります。
足上げ腹筋の姿勢が崩れたり、鉄棒を放しそうになると、すかさず先生が近づいてきて、丸出しになったお尻を鞭で打ちます。その気合い入れのおかげで、私は何とかこらえます。
それでも落ちそうになると、今度は先生の鞭が私の前から飛んできました。それは、私のお股のワレメの部分、一番弱くて、そして恥ずかしい部分を正確にとらえました。
そのあと、30メールダッシュや50メートルダッシュ、縄跳びなどのトレーニングをしました。もちろん、縄跳びの途中で引っかかったりした場合には、すぐに鞭でのお尻叩きです。
特練の最後は、100メートルのインターバルダッシュです。これは、100メートルダッシュをしたあとに、少しの休憩を挟んで、再び100メートルダッシュ、これを繰り返します。
今回のインターバルは、30秒です。スタートの合図とともに時間を計り始め、次の30秒の合図でまたスタートです。速く走れば走るほど休憩の時間が長く取れます。
100メートルに30秒以上かかることなんて普通の状態では考えられませんが、20本、30本と続けているうちにヘトヘトになって前に進めなくなります。そして、100メートル走りきらないうちに、次のスタートの合図がなってしまいます。
そうなると、インターバルは一旦中断され、先生の前にダッシュで向かいます。しかし、すでにヘトヘトなのです。先生のもとに行くにもフラフラです。
「は~や~く~し~ろ~!」
先生の怒鳴り声です。私はもう何度目かわからない最後の力を振り絞って、出来る限りのダッシュで走ります。そして、先生に言われる前に、ブルマを下ろして裸のお尻を先生に差し出します。
「気合い入れおねがいします!」
「よし!」
バシッ!
その日の特練は、裸のお尻に鞭を打たれることから始まり、鞭を打たれることで乗り越え、鞭を打たれることで終わりました。
――――季節は春
私はいつものように部室で着替えをします。でも昨日までとは少し違います。私は制服を脱ぐと、カバンの中からジャージを取り出し、上下長袖長ズボンのジャージ姿に着替えます。
部室を出ると、新1年生がおしゃべりをしながら着替えをしています。
「ダラダラするな!」
私は一喝します。五人の新1年生は怯えたような表情で私を見ます。
「遅いんだよ! とっとと、練習着に着替える! 着替えたら整列!」
私は、半袖体操服・ブルマ姿の五人の新1年生を部室の前に整列させます。そして、この陸上部の規則を一から説明します。だんだん五人の表情が曇っていくのが分かりました。
「それじゃあ、今からあんたたち五人はグラウンドの真ん中に移動! 挨拶してこい!」
「「「…………」」」
「返事!」
「「「はい」」」
「聞こえないよ! 元気よく!」
「「「ハイッ!」」」
まだ小学校を卒業したばかり、あどけなさの残る五人の新1年生は、グラウンドの中央に向かって走り出しました。私は、五人のうしろ姿、ブルマに包まれた小さなお尻を眺めていました。
右手に鞭を握りながら…………。
【本編 ・ 終】